のびのび暮らせる濡れ縁のある平屋
のびのび暮らせる
濡れ縁のある平屋
30年ほど前に建てられた奥さんの実家の隣に、
同じ工務店の手で、昔ながらの開放的な住まいが完成。
新旧二つの家が周囲の風景に溶け込むように佇む。
広島県東広島市 坂田工務店 H邸
設計・施工=木ごころ ㈱坂田工務店 写真=輿水 進 文=鈴木和宏
広島県東広島市の山あいに建つH邸は、端正な切妻屋根の平屋建て。外壁は漆喰と板張りで仕上げ、屋根にいぶし銀の和瓦を載せた佇まいは、どこか懐かしい雰囲気を漂わせ、周囲の自然にもなじんでいる。
Hさん夫妻は、長女の小学校入学に合わせて家づくりを決意し、奥さんの実家の隣の畑を農地転用することにした。「家づくりの絶対条件は自然素材で建てることでした」と奥さん。これまで暮らしていたマンションは結露やカビがひどく、ご主人以外は全員ぜんそくに悩まされてきたという。特に二人のお子さんは毎日家での吸入が欠かせないほどで、医師に「住環境を変えるのがいちばんの薬」と言われたそうだ。
ハウスメーカーや工務店をあれこれ見てまわった夫妻が、最終的に白羽の矢を立てたのが、木ごころ㈱坂田工務店だった。同社は創業60年余。木の家にこだわり、昔ながらの手刻みを基本に自社大工を多数擁する地元工務店だ。
「最後に3社まで絞り込みましたが、坂田さんの建てる家がいちばん『本物の木の家』という感じがしたんです。断熱材まで自然素材(羊毛のウールブレス)と聞き、健康住宅という点でも安心でした」と奥さんが振り返る。実は、奥さんの実家を30年前に手がけたのも、ほかならぬ坂田工務店だった。「長年ご実家の家守りをしてまいりましたが、再び当社をご指名いただき光栄です」と、同社社長の髙原良彦さんが笑顔で話す。
「この家に暮らし始めて
ぜんそくが治まりました」
家づくりに際してHさん夫妻から出された要望は、建物は平屋で、共働きでも家事がしやすく、いつでもすっきり暮らせる家。
これを受けて、設計を担当した髙原さんが提案したのは、玄関から直接洗面所につながる裏動線や、水まわりスペースに回遊動線を配するなど、暮らしやすさを徹底的に追求したプラン。収納についても、玄関脇の土間収納をはじめ、キッチンの壁面に設けた食品庫、小屋裏にも大容量の収納スペースを確保している。
置き家具を最小限に抑えることで、室内をすっきりさせ、掃除の負担を減らしている点も見逃せない。「子どもの頃、母が実家で食卓の椅子をどかしながら掃除する姿を見て大変だなと思ったんです」と奥さん。ソファや食卓、椅子、テレビ台といった置き家具の代わりに、リビング・ダイニング兼用のオールシーズン使える掘り炬燵や、テレビが置ける棚をあらかじめ造り付けてもらったという。
風通しがよいのもこの家の魅力だ。風の流れを計算し、窓を効果的に配置しているのだという。リビングの南側には大きな濡れ縁を設けており、窓を開け放てば庭と一体となった暮らしが楽しめる。濡れ縁は子どもたちの格好の遊び場にもなっているようだ。「この家に暮らすようになって、子どもたちのぜんそくがみるみる治っていくのには驚きました。今では咳も出なくなり毎日が運動会のように元気に走りまわっています。私自身もかなり楽になりました」と奥さんがうれしそうに話す。「オール電化にしたところ光熱費はマンションの半分以下。これにも驚いています」。
ところで、この家は「2012年 ひろしま住まいづくりコンクール」で奨励賞を受賞。うれしいニュースが後を絶たない。
所在地 | 広島県東広島市 |
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家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
面積 | 敷地 306.70㎡ 延床 105.99㎡ |
竣工 | 2012年2月(工期2011年8月~2012年2月) |
設計・施工 | 木ごころ ㈱坂田工務店(設計担当=髙原良彦) |
構造形式 | 木造軸組工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=日本瓦葺き 軒裏=杉板 外壁=漆喰塗り、一部檜板張り(腰壁) |
主な内部仕上げ | 天井=杉板 壁=フェザーフィール塗り 床=杉板(厚30㎜) |
木ごころ 株式会社坂田工務店
〒739-0151 広島県東広島市八本松町原9240-2
従来の日本家屋をベースに、住みやすさに重きを置いた、
風景に馴染む家造りにも取り組んでいます。
当社の強みは設計から施工、アフターメンテナンスまで全て自社で行えること。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、
理想の住まいを創るお手伝いをさせていただきます。
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