第三十一回 カゴメとハニカム

かごめカゴメ、籠目とはなにか。竹籠の編み目のことを籠目と総称したり、あるいは「籠目編み」という呼び名で「六つ目編み」を意味したりもします。六つ目とは、6本の竹ヒゴでひとつの編み目をつくる編み方のこと。
 
六つ目の籠目

とてもポピュラーな編み方ですので、一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか。また、六つ目と似ている形に「ハニカム構造」があります。こちらは、いわゆるミツバチの巣のような、正六角形が隙間なく並ぶ構造のこと。

 
ハニカム

六つ目というと、蜂の巣模様のハニカムを連想されることもあるようですが、並べてみると違いますね。六つ目編みの場合には、六角形の辺と辺ではなく、角と角だけが接するかたち。ダビデの星のように、六角形の周りを三角形が囲み、その三角形を隣の六角形と共有しながら並ぶ恰好になるわけです。三角形は安定した形で、そうした三角形をたくさん持っている六つ目編みもまた安定した形であることについては、ハニカムのそれと似ているとも言えます。

隙間が大きいにも関わらず、上記のように堅牢な六つ目編みは、農作物を運ぶための籠や落葉籠、あるいは鳥を閉じ込める大きな籠(時には罪人なども)などを作る際に用いられてきました。隙間に竹を差し込んで塞ぐとさらに強度が増すなど、応用範囲もひろい編み方です。六つ目の落葉籠などは、未だに公園や畑で使われている風景を目にすることからも、いかにこの籠目が優れているのかが分ります。

籠目とハニカム、人間の編み出した形と蜂から生まれた形、どちらも自らの暮らしを支えてくれる、お守りのような文様かもしれません。
 

 

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