第十二回 竹に節あり

竹には節があります。このことは、ほとんどの方がご存知なのではないでしょうか。では、どのような形をしているか描いて下さいと言われたらいかがでしょう。ではまず画像をご覧下さい。

(右)マダケの節です(左)モウソウチクの節です

マダケの節は上下に二重になっています。上の段の方が少し高い場合が多いですが、この画像の竹は節が比較的低い例です。ではモウソウチクではどうか。マダケに見られたような上の段がありません。表皮が節の部分で盛り上がり、そこからストンと落ちて鋭い段差になっています。このように種類によって節の形が少しずつ異なり、また節と節の間の長さも種類ごと、また個体ごと、そして同じ竹でもその部位によって異なります。節は竹の個性を代表するものであると同時に、素直に見える竹の中では変調した、加工の難所となる存在でもあります。では、もう一つ鑑賞のポイントを。

(右)マダケの節、その一(左)マダケの節、その二

どちらもマダケの煤竹ですが、違いがお分かりでしょうか。節の上段に斜めのギザギザ模様があります。この向きが、左上がりと右上がりで逆向きです。あるいは上下に垂直に刻まれている場合もあり、あまり注目しない場所ですが自然の造形で、茶杓のような小さなものでは見所にもなります。

同じ竹の同じ節でも、例えば太陽光がよく当たる方は節が高くなる傾向があり、360度同じにはなりません。また節の部分で竹は少しずつ捻れたり曲がったりする場合が多く、枝が出るのも節の上。どこまでも垂直に真っ直ぐに伸びて、低い節が続けば細工をするには楽ですが、そうはいかないところが厄介でもあり、また面白いところでもあります。

菓子切の節

同じ節から作った五本の菓子切です。手前から向こうへ順に節が高くなっています。こういった小さな違いは節だけではありませんが、まずは節を手がかりにして楽しんで頂けると、より深く竹を味わうことが出来ると思います。

 

 

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