第十五回 暮らしに竹をもう一度

竹を用いたもの作りについて書いて参りました。当たり前ですが、ものを作るのは使うため、使ってもらうため。作る技術だけがあっても需要がなければ丸ごと消える運命です。竹籠は好きだけど使い方が分らない、置く場所がないという声も聞かれますので、今回は使い方のご提案を。つかう籠は一種類、四つ目の籠で遊びましょう。

[左]朝食を彩る器として[右]お出掛けの支度を助けます

台所用品としてや、カジュアルなバッグとして竹籠の需要が増えてきましたが、竹はインテリア雑貨としても使いやすいものです。プラスチックのカゴは経年劣化する一方ですが、竹は上手く扱えば味わいも出ますし、次の世代に渡すことも出来るかもしれません。

[左]器を入れて、花を生けたり[右]同じ籠が照明器具にも

少し応用して、花を入れてみました。金属製の器に水を入れています。陶器やガラス器などアレンジすることで季節に応じた使い方も出来ます。そして次は照明器具に。竹ヒゴが淡く光を通すと同時に編み目の隙間から漏れる光を楽しむことも出来、編み方次第で調節が出来る竹ならではの演出効果です。

これら四つの例は、すべて同じ竹籠のアレンジ。籠の形を変えれば使い方は無限にあると言っても過言ではありません。新しい用途を考えることも、これからの作り手として試みていかねばなりませんし、アイデアを頂くことによって道が開けることもあり、そういった可能性を日々探っています。

竹が担ってきた道具としての役割は、日用品としてはプラスチックなどが、あるいは家作りの場面でも各種新建材が担うようになりました。それはコスト等から抗うことのできない流れと思われましたが、石油や電気などのエネルギーを大量消費して作られる素材は、べつな形で大きなコストを払わねば手に入らないことに、この2年半ほどで多くの方が気づかれました。うねる激流を遡ることは難しいですが、分岐する自然素材活用の小さな流れは確実に増えてゆくでしょう。そのなかで竹を用いた暮らしを、新しい形で生みだしたい、それが私の願いであり、私の仕事です。

 

 

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