第二十四回 ささに願いを

日本の竹は、タケの仲間とササの仲間に大きく分けられます(バンブーもありますが)。そのどちらも私は素材として用いており、単純に効率面で比較すると大きなタケのほうが使い勝手は良いですが、小型のササにもそれぞれに個性があって楽しく、また「ささ」という音や文字の控えめで優しい感じを、好ましく思っています。自分の削る菓子切りに「ささのは」という名前を付けているくらいですから。

タケは稈を太く大きく成長させる一方で葉を小さく細かく付ける種類が多く、反対にササは葉が大きくなる傾向があり、稈よりも葉が目立ちます。今はちょうど笹の葉が大きく開きはじめている時期ですので、少し遊んでみましょう。

 

笹舟の作り方

 

竹籠を作るのはたいへん時間の掛かる作業ですが、笹舟を作るのはあっという間ですね。数分の間に笹舟艦隊ができました。笹舟は笹小舟とも言われ、小さく儚いもの。動力もなく流れに逆らうこともできませんが、浮力だけはあって、簡単には沈まないしぶとい舟です。控えめで波風も立てないのに、しぶとい静かな強さをもつ様も、私にとっては好ましく、ひとつの理想とする姿でもあります。

摘みたての笹の葉は緑が美しく、出来上がった舟も青々と水面に生えます。しかし、机の上に大事に置いておけば明日の朝には萎れてシワシワに。「ゆく河の流れは絶えず」流れに身を任せれば行き先も分らず、沈む危険もあります。かといって安全そうな場所に留めて置いても萎れてしまう。私の笹舟は、沈まず萎れずにどこまで行けるのか、行く先の景色も流れも分りませんが、静かに川下りをつづけてゆきます。

笹の葉の話がやや広がりすぎました。今年も、じき七夕ですね。もう願い事は決まりましたか?

 

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