籠を編むのは楽しい作業です。バラバラの竹ひごが集まり、編むにしたがって籠が大きくなる過程は我が子を育てるようなもの。目に見える変化がありますので、そこに楽しさを見いだすことが出来ます。いつまでも編んでいたい気にすらなりますが、そういうわけには参りませず、また編みっぱなしで終わるわけにもいきません。竹籠づくりの締めくくりである「縁」について書きましょう。
侘びた籠においては、編み放し、切り放しでおわることもありますが、原則的には最後は縁仕上げをします。おおきく分けると、編んだ材料の延長で縁を作る「共縁(ともぶち)」と別な竹でキジを内外から挟む「当て縁(あてぶち)」の二つの方法があります。
前者では、籠を編んだ竹ひごを斜めに巻いて縁にしており、一体感のある仕上がりです。柔らかい竹でないと、巻いているうちに折れたり、時間が経過してからヒビ割れたりしますので、まず材料の選択が大切。この方法では、材料は竹のみで籠を完成させることが出来ますので、実用品としての民具や侘びた花入などに用いられる手法です。
一方の後者では、幅広で肉厚に整えた縁を内外に当てて、細く仕上げた籐で巻きます。籐は竹と違って国内では採れない素材ですので、昔であれば唐物と呼ばれる大陸からの舶来品に使われていました。後に材料が輸入されるようになり、精緻に装飾された縁作りは、竹のみでは出来なかった贅沢な雰囲気を竹籠にもたらすことに一役買いました。
竹細工、竹工芸は、日本の伝統として受け継がれてきましたが、その過程では異国から入ってきた文化や技術を柔軟に取り入れて工夫してきたことを、縁作りを通じて見ることが出来ます。また、今回は便宜的に二通りに大別しましたが、実際には多種多様な方法があります。しなやかな竹のように、これからも新しい技術を取り入れて、竹の歴史を育てて行きたいものです。
さて、今年はこれで締めくくりですが、コラムの締めくくりはまだ先です。来年もどうぞ宜しくお願い致します。