第十三回 土壁の正体見たり竹小舞

梅雨が明け、暑い日々がやって参りました。夏です。日本の夏は高温多湿で、エアコンを効かせても蒸し暑さはなかなか避けがたいもの。昨今、土壁などの自然素材が見直されていることは、エネルギーの不足が問題となったりその質が問われる時代において、永続的に調達できる素材であること、自然の調湿保温効果によるエネルギーの節約、といった観点から良いことだとおもいます。

その土壁、土だけで自立しているのではなく下地があります。そこで主役を担うのが竹の小舞。小舞とは格子状に組んだ壁の下地で、その素材が竹というわけです。竹以外の材が用いられる場合もあったようですが、竹は比較的均質な材料を木材に比べて少ない手間で揃えることができる点が有利です。とはいえ完成すれば竹は隠れてしまうので目にする機会はありません。

土、竹、縄という一見すると粗末な素材ながら、土壁作りは人力を多く要するので現在では高級なイメージすらありますが、築数十年の古い木造家屋を気をつけて見てみると、かつては庶民的な住宅に広く使われていた様子を観察することが出来ます。以下は廃屋や解体現場で見つけた、土壁と竹小舞の例です。

(上左)夏の緑の隙間からチラリと(上右)木材とコンクリート等の複合体で(下左)同じく窓的な(下右)壁板が大崩落したあとも竹が支えます

このように、街中でもしばしば見つけることができ、建物の歴史を想像するのも面白いものです。画像では分りづらいと思いますが、昔の小舞は丸竹(割っていない状態の竹)を使っている場合が多いです。いまは割竹が多いようですが、細い丸竹を集めるのは大変だったろうなとおもいます。

解体現場で拾った竹と縄

最後は解体現場の近くで拾った小舞の残骸です。まるで墓標のようでもありますが、旗指物に見えないこともありません。古い家は解体されていきますが、かつて日本の住まいを支えた竹が、次の時代に新たな活躍をする、その旗印であるぞという気持ちをこめて、この旗を高く掲げます!

 

 

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