木の命を宿した平屋の住まいで子育てを

熊本県宇城市 注文住宅 金子典生工房
熊本県

木の命を宿した
平屋の住まいで子育てを

気取らない木の家を求めていた建主。
完成したのは杉の香りに満ちた素朴な家だ。
ゆったりとした屋根の下、子どもたち3人と健やかな毎日を送っている。

熊本県宇城市 注文住宅 金子典生工房
設計・施工=㈲金子典生工房 写真=川辺明伸

田畑が広がる町の一角に佇む平屋の家。この家に住む吉澤さん一家は、男の子3人の5人家族だ。庭先では元気いっぱいの長男と次男がサッカーボールを追って駆けまわっている。ゴール前には今か今かと待ち構えているお父さん。そんな光景を窓越しに見ているお母さんも、末っ子をあやしながら目を細める―。

控え目な印象の外観から一転、中に入って驚くのは、山からそのままやってきたかのような堂々とした丸太の梁。その存在をより印象的なものにしているのは、メリハリの効いた壁仕上げ。窓の高さまでは暖かな色味の杉板、それより上は白い珪藻土で爽やかな印象だ。飛んだり跳ねたり、元気いっぱいの子どもたちの動きも、やわらかい杉の床が受け止める。

毎日でも飽きない
手づくり弁当のような家

転勤で県内を転々としていた一家。家づくりを考え始めたのは、ご主人が生まれ育った町に戻ることになったからだ。子どもたちの健康のためにも、口に入っても安全な自然素材と無垢材の家を求めていた。

無垢の木の家に絞って展示場をまわったが、「どこも、完璧に整えられたデザインがよそよそしくてなじめなかったんですよね」とご主人。諦め気味になった折、奥さんがネットで「熊本県木の家」と検索してヒットしたのが金子典生工房だった。

昭和59年に創業した同社は、当初から一貫して自然素材と県産材で建てる家づくりにこだわってきた。金子美智夫社長自ら原木市場に出向き、熊本県産の杉や檜を1本1本選んでおり、どの家も社長の目にかなった上質な材が、大工の技をもって力強く組み上げられている。

完成見学会にでかけ、丸太の柱梁、杉の床の肌触り、おおらかな間取り―初めて思い描いていたイメージと一致。「求めていたのは手づくり感のあるこんな家なの だとやっとわかりました」と奥さんは振り返る。「店の弁当は豪華だけど毎日だと飽きる。でもお母さんの手づくり弁当は毎日でも不思議と飽きない。そんな家がいいと思うんですよね」と金子社長。その社長の話に夫妻も共感した。

平屋のコンパクトな家がいいという一家の希望を受け、間取りはゆったりとしたワンルームに。リビングを中心に和室と書斎もつながっている。子育て真っ只中の一家にとって、水まわりがリビングと近いのもポイントだ。トップライトで天井の形に変化をつけ、暗くなりがちな家の中心にも光が届くので、明るさも十分ある。

「家を建ててから、庭づくりの面白さに目覚めて。夜な夜な、庭を眺めながら次は何をしようかと考えを巡らせるんです(笑)」とご主人。通りと玄関を結ぶアプロー チにはレンガを一つひとつ敷き、植栽も自ら選んで丹精しているそうだ。共働きで忙しい毎日の中でも、自分たちらしい暮らしを営む一家。子どもたちも健やかに成長していくことだろう。

熊本県宇城市 注文住宅 金子典生工房 平面図

所在地 熊本県宇城市
家族構成 夫婦+子ども4人
面積 敷地 308.85㎡
延床 122.32㎡
竣工 2014年3月(工期 2013年10月~2014年3月)
設計・施工 ㈲金子典生工房
構造形式 在来軸組工法
主な外部仕上げ 屋根=ガルバリウム鋼板
外壁=ガルバリウム鋼板、西洋漆喰塗り
軒天井=杉板
主な内部仕上げ 天井=杉板
壁=杉板・珪藻土塗り
床=杉板

有限会社 金子典生工房
〒861-8039 熊本県熊本市東区長嶺南4-7-133
 
創業以来、熊本を拠点に、自然素材を活かし、有機化合物を使わず、
家族が末永く健康に暮らせる家を設計・建築してきました。
熟練大工の確かな職人技で、“自由に大らかにつくる”ことをコンセプトに、
熊本県産材を中心とした木の家をつくっています。
惜しみない手間と愛情を込めて、お客様が住みたい家をお客さまと一緒につくります。

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