薪ストーブ1台で暖まる 適材適所に木を生かした家

青森県三沢市 注文住宅 堅木工房
青森県

薪ストーブ1台で暖まる
適材適所に木を生かした家

杉・檜だけでなく、クリや欅といった広葉樹を
適材適所に生かすことのできる工務店が青森の三沢にある。
素材の良質さと確かな手仕事が際立つ住まいを訪ねた。

青森県三沢市 注文住宅 堅木工房 K邸
設計・施工=㈲堅木工房 写真=五十嵐秀幸 文=鈴木和宏

三沢市の中心から車で15分ほど。雑木林を背負うように佇むK邸は、堅木工房が2007年夏に完成させた住宅だ。杉の下見板と左官仕上げの白壁が周囲の縁と調和している

センノキの玄関ドアを開けると、上品な欅の式台が訪れる者を静かに迎える。おじゃまします、と靴を脱げば、そこはもうリビングだ。木の香りとぬくもりに包まれた室内は開放的で、吹き抜けを通して2階とつながる。木をたっぷりと使っているが、よく見ると表情がそれぞれ違う。

「リビングの床と階段はクリ、構造材は杉と檜、建具は杉とヒバを使っています。適材適所に気を使うというのは、昔は当然のことでした」と河村社長。

主要な木材は、江戸時代から受け継がれてきた山を管理している田中林業から仕入れ、その木を高い製材技術を持つ中村製材所が挽き、それを堅木工房が時間をかけて天然乾燥し、手刻みで仕上げたものである。

レベルの高い
家づくりを実感

Kさん夫妻が堅木工房を知ったのは、見学会を告知する新聞折り込みだった。さっそく足を運んでみると、「それまで見たどの家とも違う印象で、無垢の床が気に入りました」と奥さん。

「見学会に大工さんたちも来ていて驚きましたが、信頼できる感じがしました」とご主人も振り返る。家づくりを決意し、ちょうど本で勉強しはじめた頃だったという。

「河村さんの話を聞けば聞くほど、本に書いている以上のレベルの高さを感じました」という夫妻は、迷わず堅木工房に白羽の矢を立てた。

そもそも、河村さんが堅木工房を立ち上げたのは、本当にいい家を若い人たちに提供したいとの思いからだという。

「長く安心して住める頑丈な家を、できるだけリーズナブルに、最高の材ですから高いのは当たり前、とは言いたくありません」と河村さん。

高価なクリも、土台に使う材をとった後の辺材を床材に生かすなどの工夫で、コストを下げている。堅木をあつかう技術と、ストックヤードや刻み場があればこそ実現できる話である。

実際の家づくりでは、ギターを思いきり弾ける防音室と来客用の和室を(ご主人)、薪ストーブと対面式キッチンを(奥さん)、といった要望を形にしつつ、35坪とは思えない空間が生み出されている。

三沢の冬は、雪は少ないが寒さは厳しい。K邸では、薪ストーブの熱を家中に循環させるとともに、通常の家より分厚くした床や壁の木部に蓄熱させ、そこからの輻射熱を得られるように設計してあるという。

この家に住んで間もないKさん夫妻だが、「家の中に洗濯物を干してもじめじめしないのが驚きです」と奥さん。

「休日は家でゴロゴロ過ごすことが多いのですが、すごく落ち着きますね」とご主人も嬉しそうに話してくれた。

青森県三沢市 注文住宅 堅木工房 平面図

所在地 青森県三沢市
家族構成 夫婦
面積 敷地 324.00㎡
延床 115.93㎡(1階71.21㎡ 2階44.72㎡)
竣工 2007年8月(工期 2007年4月~8月)
設計・施工 堅木工房
構造形式 木造軸組工法
主な外部仕上げ 屋根=ガルバリウムカラー鋼板葺き
外壁=下部杉下見張りウッドロングエコ仕上げ、上部 スーパーそとん壁
軒天井=杉張りウッドロングエコ仕上げ
主な内部仕上げ 天井=ヒバ・杉・中霧島壁・漆喰
壁=クリ・ヒバ・杉・中霧島壁・漆喰
床=1階 クリ 厚18mm 檜+カラマツ捨張り 厚15mm+15mm 杉 厚30mm ヒバ+カラマツ捨張り 厚15mm+15mm 2階 杉 厚30mm

有限会社 堅木工房
〒033-0133 青森県三沢市鹿中3-145-497
 
クリや欅などの堅木をはじめ、
信頼できる木材会社、製材所から仕入れた品質のいい木材しか使いません。
それを手刻みで仕上げ、本物の木の家をつくっています。

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