山の“木づかいプランナー”がつくる 森のなかの小さな家
山の“木づかいプランナー”がつくる
森のなかの小さな家
栃木の山の環境や木材資源の活用促進を真剣に考え、家づくりを実践する大和木材。
山の木は「使わないといけない」と強く訴える工務店が、
地元、日光・鹿沼の木材のみを使⽤した手づくりの住まいを紹介する。
栃木県鹿沼市 注文住宅 日光の家 大和木材 K邸
設計=㈲ 佐々木設計企画 施工=日光の家 ㈱大和木材 文=内田珠己
栃木の木づかいを
本気で考える
後ろに山を背負い、杉林に囲まれた山小屋のような風情のK邸。
山林だったこの場所はもともと奥さんのお父さまの土地で、山の木を伐採したり計画を練ったりと、3年ほどかけて住まいづくりの準備を進めてきたのだそう。その際に、伐採する木を見極める選木作業や、伐採した原木をK邸に使用するのか売却するのかといったアドバイスを行なったのが、大和木材代表の福田彦一郎さんだ。
同社は戦後における都心部の住宅不足に伴い、国の指示でできた製材所に端を発している。福田さんの祖父の代から地元・日光の山林を複数所有し、山の管理から製材までを行なってきた木のプロフェッショナル。専門の山林作業部がおり、建築のどの部分にどのように使うかといったことまで考慮しながら一本一本の特性を見定めて伐採し、それを最大限に生かすような木取りによる製材を自社工場で行なっている。
また、福田さんは「とちぎ木づかいプランナー協会」の会長を10年以上務めており、地元の豊富な木材資源について知ってもらい、その利用を促進するためにさまざまな講演なども行なっている。そこで出会ったのがKさんのお父さまなのだとか。
お父さまは自身の所有する山林の管理や木材利用についての関心が高く、福田さんと交流を深めるなかで娘さん夫妻の家づくりの話が立ち上がり、木材調達の段階から大和木材が全面協力して家づくりを行なうことになったのだという。
住宅をつくることは
山を守る手段のひとつ
いざ、家づくりが始まったが、そこからが長かった。まず敷地となる土地の杉の伐採からだが、当然ながら乾燥させ、製材して建築に使える形にする必要がある。プロによるアドバイスのもと、お父さまも自ら伐採作業を行なったのだとか。そうした作業と並行してプランを進めた。
テーマは「森のなかの小さな家」というKさん夫妻。要望通りのコンパクトで暮らしやすい住まいとするため、薪ストーブのあるLDKを中心とした平屋に、自由度の高いスペースを2階に設けるといったきわめてシンプルな間取りとなった。
小ぢんまりとはしているものの、水回りをはじめ生活動線はしっかりと考慮して設計され、個室を壁でなく引き戸で仕切るなどさまざまな工夫がなされていて、使い勝手は抜群。薪ストーブの薪は、敷地内やお父さまの所有する山の雑木などもあるので事欠かない。
また、住まいができていく過程で、Kさん一家も素材のことや施工にも興味を持つようになったのだとか。壁の漆喰塗りや外壁の塗装にも参加させてもらうなど、家づくりの一端を体験できたことは、2人の子どもを含め家族の思い出にもなったことだろう。
「地元の林業や木材の現状を知ってもらうことはとても大切なこと。山の木は使わないといけないんです」と話す福田さん。さまざまな問題が絡み合う山の環境を守るために「住宅を建てることは手段のひとつ」とまで言うところからも、取り組み方の本気度が伝わる。それに加え、「自分の目の届かないところはやらない」と、福田さんは地域に根ざしてやっていくという強い思いを語る。
山の環境を含め、自分たちの暮らす町の未来を見据えること。それを実践している工務店は、実はそう多くはないのかもしれない。
所在地 | 栃木県鹿沼市 |
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家族構成 | 夫婦+子ども1人 |
面積 | 敷地 620.52㎡ 延床 140.77㎡(1階 99.37㎡ 2階 41.40㎡) |
竣工 | 2022年5月(工期 2021年10月〜2022年5月) |
設計 | ㈲佐々木設計企画 |
設計・施工 | 日光の家 ㈱大和木材 |
構造形式 | 木造軸組工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き 外壁=杉板厚30㎜鎧張り 軒天井=杉板厚30㎜化粧垂木 |
主な内部仕上げ | 天井=杉板厚12㎜(一部プラスターボードクロス貼り) 壁=プラスターボード厚12.5㎜漆喰塗り(一部プラスターボードクロス貼り) 床=杉板厚30㎜ 蜜蝋ワックス仕上げ/td> |
日光の家 株式会社 大和木材
〒321-1107 栃木県日光市小代348
自社所有の杉や檜の山林を管理し、伐採、製材、建築利用まで一貫した家づくりを行なっています。
地元の材を積極的に使うことが山の環境、ひいては地球環境を
守ることにもつながるということを伝えています。
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