少年時代の記憶を呼び覚ます薪ストーブと土間のある家
少年時代の記憶を
呼び覚ます薪ストーブと
土間のある家
第二の人生を歩み始めた前田さん夫妻は、
ご主人の少年時代の記憶をたどり、薪ストーブと土間のある家を建てた。
どこか日本の民家の雰囲気が漂うその家は、
近所の人びとをもひきつけている。
兵庫県神戸市 平尾工務店 前田邸
設計・施工=㈱平尾工務店 写真=畑 耕
兵庫県神戸市に住む前田さん夫妻は、ご主人のリタイヤを機に建て替えを考えた。それまでの家は、築50年以上で、増築を繰り返したため使い勝手もかなり悪くなっていた。二人の娘さんはすでに独立していたが、長女が「いずれは同居も考えている」と言ったため、長女一家も同居できる住まいを建てることにした。
ご主人は建て替えにあたり、「薪ストーブと土間のある家」にしたかったという。中学生の頃まで、江戸から明治にかけて建てられた農家型住宅に住んでいたご主人は、そこにあった土間と〝おくどさん〟(かまど)の火のイメージを、新しい家に再現したいと考えたのだ。
そんな時夫妻が出会ったのは、100年以上の歴史を持つ兵庫県加東市の平尾工務店。実は『チルチンびと』愛読者だった長女が、小誌を見てリフォームを相談した平尾工務店を「親切な工務店」だったと教えてくれたのがきっかけだった。
夫妻はさっそく同社のモデルハウスを見学に行き、ご主人は「光の入り方が気に入ったし、国産材へのこだわりにも共感」、奥さんも「無垢材と漆喰の家づくり」に好印象を受けた。かくして、前田さん夫妻と平尾工務店との家づくりがスタートした。
最高の場所から
炎を眺められる工夫
設計は平尾工務店社長の平尾博之さんを中心に、同社の設計スタッフがまとめ上げた。南側の「いちばんいいところ」にリビングを置き、東側の土間に対面してダイニングを配置。土間の隅に薪ストーブを置いた。ストーブは、ご主人の「クラシックなデザインを」という要望に応え、モルソーの7140CBを選んだ。さらに、リビングから薪ストーブの炎が眺められるように、壁の一部にガラスをはめ込んだ。
夫妻がこの家に住み始めてから約1年。昨冬は毎日夕方から火を入れて、暖かさを実感した。「リビングに座ってストーブを眺める」時間は、ご主人にとって至福のひとときで「今シーズンからは、昼も火を焚こうと思っています」と話す。奥さんはピザづくりや、煮込み料理にも挑戦。これからレパートリーを増やしたいと言う。
また、薪ストーブは、ご近所付き合いをも深めてくれた。薪ストーブがある家は珍しいとやってきた近所の人びとに、夫妻が焼いたピザをふるまったり、反対に「薪にして」と木をわけてもらったりもした。前田さんの家が地域の核になっているようでもある。「こんな家に住んでいいのかと思うぐらい、いい家をつくってもらいました」と、嬉しそうに話す前田さん夫妻。いずれ長女一家を迎えたときは、いっそう薪ストーブと家族の温かさがあふれる家になることだろう。
所在地 | 兵庫県神戸市 |
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家族構成 | 夫婦 |
面積 | 敷地 389.43㎡ 延床 149.6㎡(1階101.9㎡ 2階47.7㎡) |
竣工 | 2017年9月(工期2017年3月~9月) |
設計・施工 | ㈱平尾工務店 |
構造形式 | 木造軸組工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=平板瓦 軒天井=化粧垂木野地板現し 外壁=モルタルリシン |
主な内部仕上げ | 天井=杉板張り タナクリーム仕上げ 壁=タナクリーム仕上げ 床=檜・杉 蜜蠟ワックス仕上げ |
株式会社平尾工務店
〒673-1311 兵庫県加東市天神341番地
家族がずっと生きていく住まいだから。
平尾工務店は、暮らしたいと思える家造りを大切にしています。
これまでたくさんの家族に出会い、たくさんの家を建ててきました。
その中で、「人が求める家は何だろう」と考えた回数は幾多にも及びます。
だからこそ生まれた、平尾工務店ならではの家づくり。
私たちはこの思いを大切に、住まいづくりに携わっています。
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