手間をかける楽しさを味わいながら暮らす

神奈川県 注文住宅 加賀妻工務店
神奈川県

手間をかける楽しさを
味わいながら暮らす

夫婦でおだやかに過ごす終の棲処に取り入れたのは、
薪ストーブ、美しい障子、そして木のぬくもり。
そこには、炎を眺め、心からリラックスして
料理や音楽を楽しむ贅沢な時間があった。

神奈川県中郡 注文住宅 加賀妻工務店 W邸
設計・施工=㈱加賀妻工務店 写真=川辺明伸 文=林 菜穂子

退職後の悠々自適な
暮らしを見すえて

無垢の木のぬくもりが印象的な、吹き抜けのリビング。薪ストーブの炎が揺れ、愛用のスピーカーからジャズが流れる。「ずっと思い描いていた暮らしを実現できました」と目を細めるのは、ご主人の和貴男さんだ。

Wさん夫妻がこの家を建てたきっかけは、以前住んでいた家が再開発地域に入り引っ越しが必要となったこと。ともに小学校教諭として長年多忙な日々を送ってきた二人は「退職後の人生を楽しむ住まい」を求めた。

かねてから無垢の木の家に憧れていた夫妻は、自然素材にこだわる工務店を探し、加賀妻工務店と出会う。「自社大工が誇りと真心を持って建ててくれること、堅実で落ち着いたデザインが素晴らしいと思いました」(和貴男さん)。

間取りの面で夫妻が希望したのは、夫婦でゆったり過ごせることと吹き抜けリビング。それを受けた加賀妻工務店社長の高橋一総さんは、1階を開放的な大空間とし、コンパクトな2階に寝室や納戸を配した。

建材は「おすすめで」と一任。大人二人の落ちついた暮らしを思い描いた高橋さんは、床、天井、柱、梁を温かみのある杉で統一し、壁は美しい漆喰仕上げとした。さらに、家中すべての床をうづくり仕上げにしたため、足裏で自然の木のぬくもりをより心地よく感じられる。

また、吹き抜けをダイナミックに彩る障子は、高橋さんが美しさを追求してデザインしたもの。「障子は窓との間に空気の層をつくってくれるので、断熱効果もすぐれています」と話す。

手間がかかるくらいが
ちょうどいい

終の棲処に薪ストーブを入れたのは、和貴男さんの心の中にしまわれていた思い出と、東日本大震災時の体験が理由だった。「子どもの頃に裏山で焚き火をしたり、新婚当初に毎日1時間かけて薪風呂を焚いたり、火がある生活って大変だけど楽しかったんです。また、薪ストーブ導入を決心したのは東日本大震災の時。計画停電で電気が使えない、さらに灯油の入手も困難になって、それは寒い思いをしたんです。電気や石油に頼る暮らしの危うさを感じました」。

Wさん夫妻がこの家に暮らして4年が経った。和貴男さんは2年前に退職し、薪ストーブ料理や趣味の音楽鑑賞を思う存分楽しむ日々。「時間がたっぷりあるから、少し手間のかかる薪ストーブがちょうどいい」と笑う。妻の寿子さんは今後数年は仕事が続くが、「退職後にこの家でゆっくり過ごす時間が楽しみ」とうなずく。夫妻の表情には、理想の住まいを手に入れた充足感があふれていた。

神奈川県 注文住宅 加賀妻工務店

所在地 神奈川県中郡大磯町
家族構成 夫婦
面積 敷地 119.72m²
延床 107.01m²(1階58.96㎡ 2階48.05㎡)
竣工 2014年11月(工期2014年4月~11月)
設計・施工 ㈱加賀妻工務店
(設計担当:高橋一総、現場監督:岩本竜一、大工:鈴木明宏・原 拓)
構造形式 木造軸組工法
主な外部仕上げ 屋根=ガルバリウム平葺き
軒天井=モルタル左官仕上げ
外壁=モルタル左官仕上げ
主な内部仕上げ 天井=杉板張り(山長商店)
壁=漆喰
床=うづくり杉無垢フローリング 厚30㎜(益子林業)

チルチンびと98号掲載|電子書籍でご覧いただけます。

㈱加賀妻工務店
〒253-0085 神奈川県茅ヶ崎市矢畑1395

加賀妻工務店では創業当時から卓越した技術の自社大工・家具職人を現在19名の職人を抱えています。
工事受注後は、決して下請けに出すことはありません。
イ・ロ・ハ・ニ・ホ・ヘの6組の棟梁が、匠の技と匠の心で現場を受け持ちます。
「私たち工務店は住宅の町医者である。」という考えのもとに、
自分たちが建てた家は責任を持ってお付き合いをさせていただいております。

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