総檜と木摺り土壁の新しいモデルハウス

総檜と木摺り土壁の
新しいモデルハウス
原木の仕入れから、製材、加工までを
㆒貫して行う増子建築工業。
同社のモットーは「福島県産材を使い、自社職人の手仕事でつくる」。
左官技術の面でも最高レベルの技を導入したモデルハウスが完成した。
大工と左官の技を極めた家づくりを紹介する。
福島県郡山市 モデルハウス 増子建築工業
設計=泉幸甫建築研究所 施工=㈱増子建築工業 写真=畑 耕 文=上野裕子
- 吹き抜けまでの大きな開口部が印象的な外観。樹木の葉が落ちることを考え、屋根は銅板にしている。
- 外壁はラスモルタル掻き落とし仕上げ。軒下には長さ8mの棟木が見える。
増子建築工業の最新モデルハウスが建つのは、郡山駅から徒歩10分足らずの便利な場所。同社のモデルハウスが2軒並び、その奥に建つのが、2018年に竣工したモデルハウス。2軒ともに落ち着いた佇まいだが、最新のモデルハウスは銅板屋根に総檜づくりの堂々たる
外観が特徴だ。
基本設計を担当したのは、隣接するモデルハウスも手がけた建築家・泉幸甫さん。「これまでも泉さんに依頼してきたので、『敷地に合った住まいにしてほしい』ということ以外は、改めて注文はしませんでした」と話す増子社長。その要望を受けた泉さんが提案したのは、借景となる神社の緑をとりこむ大きな開口部が特徴的なプラン。随所に見事な木組や建具、左官壁など伝統の職人技が見られるとともに、吹き抜けやウッドデッキによる開放感も感じられる。
- リビングから玄関方向を見る。リビングには掘り炬燵を設けた。
- 浴室も檜と白河石と、福島県産にこだわった。
これまでの同社のモデルハウスとの違いは、使用する材を檜に絞り「檜普請の家」を実現したこと、さらに外壁・内壁ともに木摺り下地の土壁に挑戦したことだ。増子社長は「かつての家づくりでは木摺り下地も土壁も当たり前でしたが、高度経済成長を経て、いつしかプラスターボードの下地に代わってしまいました。我が社でも本格的な土壁の家をつくるのは久しぶりだったので、愛知や東京から左官の名人を招き、日本で最高レベルの左官技術を導入しました」と話す。
こうした背景には、同社のお客さまの本物志向があるという。「木の家が見直されつつある中で、県産材や自然素材はもちろんのこと、工法にもこだわるお客さまが増えてきました。そこで、これまでの県産の杉材と珪藻土を用いたベーシックタイプ、県産の杉を使いZEH(ゼロ・エネルギー住宅)をめざした省エネタイプに加え、県産の檜のみを使った木摺り土壁というハイクオリティなタイプを新たに提案することにしたのです」(増子社長)。
さらに、地元の建材を使うことにもこだわったという。同社の手がける家はほぼ100%県産材を使っているが、今回は木摺り下地にも県産の檜を使用。
- 土壁の表情が美しい階段室。
- 2階の寝室。障子を開けると、1階からも見事な棟木が見える。
さらに、障子に上川崎和紙を、浴室の床や薪ストーブの炉台に白河石を使うなど、可能なかぎり福島県産材の使用を徹底した。
常に進化を求める同社の家づくりが生み出した、デザイン、技、素材が一体となった上質なモデルハウス。地域にどのように迎えられるか、今後が期待される。
所在地 | 福島県郡山市 |
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面積 | 敷地 234.65㎡ 延床 112.36㎡(1階 69.40㎡ 2階 42.96㎡) |
竣工 | 2018年1月(工期2017年6月~2018年1月) |
設計 | 泉幸甫建築研究所 |
施工 | ㈱増子建築工業 |
構造形式 | 木造在来工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=銅板葺き 外壁=木摺り下地+ラスモルタル掻き落とし 軒天井=檜化粧垂木+化粧野地板 |
主な内部仕上げ | 天井=檜板 壁=木摺り下地+佐渡漆喰塗り 床=檜板 |
株式会社 増子建築工業
〒963-8061 福島県郡山市富久山町福原字東内打5-1
地元ふくしまの木で、住みよい、心地よい家を造る。
増子建築工業は、家づくりを通して
地域のみなさまの暮らしを豊かにしていきます。
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