片流れの屋根の下、家族が集う大らかな空間

片流れの屋根の下、 家族が集う大らかな空間
甲信越・北陸

片流れの屋根の下、
家族が集う大らかな空間

昨年、自社の敷地内にモデルハウスを建てた髙橋建築舎。
無垢材と漆喰をふんだんに使い、地元の大工や職人の手で
つくりあげた家には、同社のさまざまな提案が詰まっている。

山梨県北杜市 髙橋建築舎 モデルハウス
設計・施工=㈲高橋建築舎 写真=牛尾幹太 文=上野裕子

産地のわかる素材を生かす
大工や職人の手仕事

片流れの屋根とカーポートの下屋の取り合わせが印象的なモデルハウス。玄関ホールから一歩足を踏み入れると、想像以上に広々とした空間に迎えられる。同社の髙橋敦社長が「外観を見るとコンパクトな印象を受けるみたいで、中に入って『広い!』と驚くお客さまが多いんです」と言うとおり、明るく開放的なLDKがなんとも心地よい。「プランの基本は家族が集まる場であるLDKを広くとること。部屋を細かく仕切らず、2階も吹き抜けを介して声や気配が感じられるようにしました」。

大工として東京で腕をふるった髙橋社長が、八ヶ岳の麓・大泉高原を拠点に家づくりに取り組むようになって約20年。設計士である妻の晃子さんと二人三脚で、無垢の木を使った家づくりを行ってきた。そんな同社が大切にしているのが、大工はもちろん、左官や建具など地域の職人の手仕事を大切にした家づくり。「いつもお願いしている大工は5人で、そのうちの一人が社員。私自身の知識や経験を伝えていくために、今後は大工の育成も視野に入れていかなければと感じています」。

また、このモデルハウスは「チルチンびと仕様の家」の基準を満たしているのも特長の一つだ。同社は『チルチンびと「地域主義工務店」の会』に入会して6年が経つが、髙橋社長は「それまでも材や構造にはこだわりをもっていましたが、入会以来、より徹底するようになりました。また、手刻みのよさを再認識し、今後は我が社で手がける住宅はすべて手刻みにできればと考えています。いかに効率よく刻むかが重要になるので、そうした面でも大工を育成していかなくてはと考えています」と話す。「あとは、建築家の先生方の作品を見学したり、直接お話をうかがう機会があるのも、いい刺激になっていますね」。

大壁に映える
モダンなペレットストーブ

これまで同社が手がける家は構造を見せる真壁が多かったが、モデルハウスはスッキリとした印象を求めて大壁とし、手すりにアイアンワークを採用するなど、デザイン面でも新たな提案を行った。「モデルハウスは、別荘としても、定住する家としても暮らしやすく、年代も30~60代まで幅広い層に対応できることを考えました」。

目を引くモダンなストーブは、イタリア・Ravelli社のペレットストーブ。「このあたりは冬は積雪もあるし、朝晩はマイナス10℃を下回ることもあるので、暖かい家づくりは必須」とのことで、同社では床暖房とペレットストーブをすすめることが多いという。「薪ストーブに憧れる方も多いのですが、薪割りの負担が大きい。その点ペレットストーブなら燃料の入手も扱いも簡単ですし、導入費用も施工費込みで60万円ほどと手軽です」。

モデルハウスのオープンから1年。地元に暮らす若い家族がたくさん足を運んでくれ、地元のお客さまも増えて来たという。これからの目標を尋ねたところ「できることなら、同じモデルハウスを甲府あたりにもう1棟建てて、広く県内にアピールしていけたらと思っています」と力強く語った髙橋社長。今後、同社が提案する家づくりは、より広く地域に受け入れられていくことだろう。

 

山梨県北杜市 モデルハウス 高橋建築舎 平面図

 

所在地 山梨県北杜市
家族構成 夫婦+子ども1人(想定)
面積 敷地 415
延床 139.93㎡(1階103.29㎡ 2階36.64㎡)
竣工 2014年5月(工期2013年10月~2014年5月)
設計・施工 有限会社高橋建築舎
構造形式 木造軸組工法
主な外部仕上げ 屋根=ガルバリウム鋼板
軒天井=杉
外壁=白洲そとん壁、カラマツ
主な内部仕上げ 天井=杉
壁=漆喰
床=ナラ、松

 

チルチンびと85号掲載 | 電子書籍でごらんいただけます

 

有限会社 高橋建築舎
〒409-1501 山梨県北杜市大泉町西井出8240-6959
 
有限会社高橋建築舎がお届けするのは安心の注文住宅です。
地元の気候や風土を知った立場から家づくりをご提案いたします。
在来軸組構法・ティンバーフレームの建築、エコリフォームなど、
八ヶ岳の麓、大泉高原を拠点にするミニマムな工務店です。

 

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

Optionally add an image (JPEG only)