二世帯の仕切りは1枚の襖
二世帯の仕切りは1枚の襖
家に入ったときの空気が「澄んでいる」と、
松浪建設との家づくりを決意したIさん夫妻。
二世帯の間を壁で仕切るのをやめ、襖にした。
お互いのプライバシーを尊重しつつ、ゆるくつながる魅力を実感している。
群馬県 松浪建設 I邸
設計・施工=松浪建設㈱ 写真=米谷 享
生活音も気にならない
「二人で相談して、思い切って二世帯住宅にしました」とIさん夫妻。家づくりのことを両親に話すと、両親は共働きのIさん夫妻を思いやり「将来、子どもが生まれたら手伝えるよ」と答えた。両親の家が古くなってきていたことも、Iさん夫妻の決断につながった。
「子どもの頃にぜんそくを患っていたこともあり、健康に害のない自然素材の家がいいなと思っていました」という奥さんは、松浪建設のモデルハウスに入ったときに「空気が澄んでいる気がした」と話す。完成した家も「外から帰ってくると空気がいいなと思う。からっとしています」と微笑む。
お互いのプライバシーを大切にしたいという思いは両世帯とも持っていた。玄関や水まわりの設備に加え、薪ストーブも各世帯に設置している。さらに、Iさん夫妻は仕事で帰宅が夜遅くなったり、夜勤で出かけたりもする。生活音で夜中に起こしたりしないように、二世帯の間を壁にし、行き来は玄関や庭からと考えていた。しかし松浪建設の松浪正博社長、現場管理の岡田尚人さんは利便性を考え、Iさん夫妻のキッチンと両親の和室を、鳥の子紙を貼った襖でつなぐことを提案。Iさん夫妻も「子どもが行き来しやすく、両親も来やすいのでは」と考え直した。岡田さんは「全体をゆるくつなぐイメージ」で工事を進めていった。
入居後の昨年秋、娘さんが誕生。夫妻も両親も「この形にしてよかった」と口を揃える。「ほとんど毎日、行き来しています。平日、主人がいないときは父が薪ストーブをつけに来てくれます」と奥さん。お父さまも「子どもが帰宅しても寒くなく出入りできる」と喜ぶ。心配していた生活音も、襖を閉め切ればほとんど気にならないそうだ。
選り抜きの素材の上に
にぎわいの時間を刻む
「ぽろっと言ったことを松浪建設さんが拾ってくださった」と奥さん。急な夜勤のときに車まで雨でも濡れずに行けるといいと奥さんが話すと、玄関前に土庇を設け、駐車場までをつなぐことに。ご主人の「木の節が苦手」という言葉にも応え、床を節のない板で揃えた。
この床板は日光杉で厚さ30 ミリ。素材には同社の日頃からのこだわりが見える。
また、ご主人とお父さまの希望をかなえ、それぞれの浴室から庭の椿が見えるようにした。「空もお月さまも見えるんです」とお父さまはうれしそう。「家を建てて人を招く機会が増えました」と奥さん。ご主人は実家で、曽祖母を含め四世代で同居していた。「他の世代と話す経験は非常によかった。子どももいろいろな人と接して、社会性や豊かな情緒を育んでほしい」とご主人。襖の開くこの家は、多世代の多様な交流が生まれる場所になりそうだ。「床が傷つくのも楽しみながら子どもを育てたいと思います」(奥さん)。
所在地 | 群馬県 |
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家族構成 | 夫婦+子ども1人+奥さんの両親 |
竣工 | 2018年7月(工期 2017年5月~2018年7月) |
設計・施工 | 松浪建設㈱ |
構造形式 | 在来軸組工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=ガルバリウム鋼板 軒天井=化粧現し 外壁=ALC厚 37㎜ |
主な内部仕上げ | 天井=杉板厚12㎜ 漆喰塗り 壁=漆喰 床=杉板厚30㎜ |
松浪建設株式会社
〒373-0819 群馬県太田市新島町744
「木造住宅ではこだわりの檜の無垢材を用い、伝統的な建築を今の時代に生かすことを主眼に設計しています。
しっかりとした構造で、将来に渡っての修理やメンテナンスを減らす家づくりの工夫をいたしております。
理想のためには一切の妥協をしない。そんな家づくりをプロデュースしております。
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