ペレットストーブと版築ヒーターのぬくもりを抱く家
ペレットストーブと
版築ヒーターのぬくもりを抱く家
湘南地域を中心に家づくりを行っているワイズ。
自然素材、なかでも土壁づくりを得意とする同社が、今秋モデルハウスをオープン。
家の内外に版築を設けるなど、新たな取り組みに挑戦した。
神奈川県茅ヶ崎市 Y’s モデルハウス 湘南・土の家
設計・施工=株式会社Y’s 写真=川辺明伸
モデルハウス「湘南・土の家」が建つのは、海まで歩いて2分の場所にある住宅地。ワイズの山本康彦社長は「湘南エリアは土地が高いこともあり、当社で家を建てる方の8〜9割が敷地30坪くらいです。このモデルハウスも敷地はおよそ33坪。限られた面積でどこまで暮らしやすい家が建てられるかを追求しました」。
内外に
版築を取り入れる
外観で目を引くのが、玄関ポーチの版築の壁だ。突き固めた土が層になる版築は、手間やコストがかかる工法のため、現代の住宅で取り入れるのは珍しい。その版築壁に囲まれたアプローチを通って玄関へと入る。玄関の小ぶりなホールの先は、吹き抜けのあるLDKの大空間が広がる。「敷地を生かすために、外構の版築壁で囲まれたスペースまでを内部ととらえて設計しています」(山本社長)。
山本社長は、左官業界出身という経歴からも、土へのこだわりはひとしおだ。「これまでも木摺下地に砂漆喰の『木摺漆喰工法』の家を建ててきました。このモデルハウスでは、さらに一歩進んで版築を内外に取り入れたんです」。
その言葉どおり、キッチンカウンターの正面にも版築壁がある。この版築は仕上げとしてのみならず、100ミリの壁内に80℃のオイルが循環するパイプを埋め込んだ「版築ヒーター」としても機能する。「デザインのアクセントにするだけでなく、実用的な版築の使い方を提案したいと開発しました。温度と土の厚みなどを4年ほど研究して、実用化にこぎつけた第1号なんです」。
ストーブの
ぬくもりを蓄熱
そして、LDKのまん中にはペレットストーブが配置されている。山本社長は「このエリアでは、薪ストーブよりもペレットストーブが現実的なんです」と説明した上で、版築ヒーターによる相乗効果について語った。「ストーブそのものの暖かさはもちろんのこと、その正面の版築ヒーターの土がストーブの熱を蓄熱する効果もあると期待しています。ペレットストーブと版築ヒーターの輻射熱で、冬場の最適気温を維持できるのではないかと思います」。
また、このモデルハウスでは、冬の暖かさだけでなく、夏の涼しさも重視している。「夏もエアコンに頼らずに暮らしていただきたいので、『木摺漆喰工法』に加え、風の流れにも気を使って設計しました」。
自然素材のさらなる可能性を追求した新たなモデルハウス。この心地よさを体験してもらおうと、体験宿泊にも対応している。家族で1泊しながら、内外の版築を眺め、土壁の心地よさを体感するのは、家づくりを考える人にとって、貴重な体験となることだろう。
所在地 | 神奈川県茅ヶ崎市 |
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面積 | 敷地 110.00㎡ 延床 90.28㎡(1階51.35㎡ 2階38.93㎡) |
竣工 | 2015年9月 |
設計・施工 | 株式会社Y’s(設計担当・現場監督:山本康彦) |
構造形式 | 木造在来+伝統工法 国産(檜・杉)自然乾燥材使用 自社手刻み |
主な外部仕上げ | 屋根=通気工法、ガルバリウム葺き 軒天井=吉野杉、杉羽目板張り 外壁=木摺漆喰工法、オリジナル土壁仕上げ・版築壁 |
主な内部仕上げ | 天井=杉、羽目板張り 壁=木摺土壁工法、中塗土仕上げ・版築壁 床=杉、本実厚板張り |
株式会社 Y’s
〒253-0021 神奈川県茅ヶ崎市浜竹3-4-64
湘南地域を中心に現地調査からアフターサービスまで一括して自社で行っている会社です。
仕上げ材にはもちろん無垢材や自然素材をこだわって使用しています。
木造軸組工法の構造材は基本的に出荷証明の明らかな国産材を限定使用し、
耐震性・断熱性・遮音性等、中身にもこだわり安全な家を目指しています。
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