ていねいな仕事の 大屋根と太い梁の家
ていねいな仕事の
大屋根と太い梁の家
「自然と触れ合いながら育ってほしい」。
子どもたちの健やかな成長を願ってつくられた家は、
無垢材の温かみと開放的な雰囲気に満ちている。
建主の思いと、職人の確かな技術が生きた住宅を紹介する。
埼玉県久喜市 注文住宅 蓮見工務店 山口邸
写真=畑 拓
建材由来のあたたかさ
ゆるやかな傾斜を描く大屋根と、白い左官壁。広い芝生の庭には、若木が枝を伸ばす。2016年11月に竣工したばかりの山口邸。太い松の梁が見守るリビングで、30代の山口賢一郎さん、あいさん夫妻と、長男・倫太郎くん、長女・ことはちゃんがだんらんを楽しむ。「仕事が忙しくても帰るのが待ち遠しい。不思議とおおらかな気持ちでいられるんですよ。子どもたちもすぐに新居になじみました」(賢一郎さん)。
リビングは床がオークの無垢板、壁は珪藻土の左官仕上げ。吹き抜けの天井には、福島県産松の太い梁が堂々と交差し、家のシンボルとなっている。ほかの居室にも、桜の無垢板などが使われている。「冷え込んだ朝でも、この家は空気がとってもやわらかい」と、あいさんが話すと、建築に当たった蓮見工務店の蓮見幸男社長が「蓄熱する素材が多いので、室内の空気が冷えると熱が放出されるんですよ」と説明する。山口さん一家は以前、床暖房のあるマンションで暮らしていたが、それと比べても「抜群のあたたかさがある」と賢一郎さんが頷いた。「裸足でいる子どもたちも、気持ちよく過ごせているみたい」(あいさん)だという。
信頼関係が生んだ理想の住宅
家づくりの中心になったのは、あいさんだ。「子どもには、木や土と触れ合いながら育ってほしい」という思いを温めていた2015年春頃、『チルチンびと』を読んで「地域主義工務店」の会を知った。当時、憧れていた大屋根のある住宅が、蓮見工務店のホームページに施工例として掲載されていたのを見つけ、「運命的に感じられて」家づくりを依頼したという。
「外観は大屋根、無垢の木を使いたいというご希望でした」と、設計を担当した蓮見健司さんは振り返る。その後、別の施工例を見学してもらったところ、「丸太の梁を入れたい」という要望も加わった。
2016年4月に工事が始まると、あいさんは現場に週2、3日通うようになった。大工や職人にお茶を振る舞い、話をしながら、できあがっていく我が家を見守ったという。その姿は職人たちのモチベーションを上げた。「山口さんは職人を尊重し、信頼し、期待もしてくれた。ワクワクしながら接してくれているのが伝わり、それに応えようとみんな一生懸命でした」と蓮見社長は語る。
工期中、近くにあったあいさんの祖母宅を壊すことになった際は、蓮見工務店がその家のケヤキの梁などを引き取り、新居玄関扉の取っ手と上がり框、下駄箱の天板、階段として蘇らせた。あいさんは「家の顔になる部分に材を受け継ぐことができて、私たちだけでなく母も喜んでいた」と顔をほころばせる。
一家の思いと職人の熱意が反映された山口邸は、木のあたたかさとていねいな仕事ぶりが随所に感じられる。仕切りや扉には格子が用いられ、空間の連続性と開放感がある。深い軒にも格子がしつらえられ、夏の日差しをやわらげる。
動きたい盛りの子どもたちは、1階から2階、デッキから庭まで駆けまわり、寝そべったり転がったりしてのびのびと育っている。その様子に目を細める山口さん夫妻。深い信頼を寄せた工務店との共同作業で、充実した住宅が完成した。
所在地 | 埼玉県久喜市 |
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家族構成 | 夫婦+子ども2人 |
面積 | 敷地 327.84㎡ 延床 146.67㎡(1階 91.72㎡ 2階 54.95㎡) |
竣工 | 2016年11月(工期 2016年4月~11月) |
設計 | 蓮見建築設計事務所(設計担当:蓮見健司) |
施工 | ㈱蓮見工務店(現場監督:蓮見健司) |
構造形式 | 木造在来工法 |
主な外部仕上げ | 屋根=ガルバリウム鋼板平葺き 軒天井=杉羽目板張り 外壁=ラスモルタル マヂックコート仕上げ |
主な内部仕上げ | 天井=杉羽目板張り 壁=珪藻土塗り 床=ヨーロピアンオーク無垢板 |
株式会社 蓮見工務店
〒364-0005 埼玉県北本市本宿6-31
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」
ならではの、手づくりの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきたデザイン性、
高性能な家を提供させて頂いております。
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