自然素材と職人技が紡ぐモダン民家

愛媛県松山市 注文住宅 西渕工務店
愛媛県

自然素材と職人技が紡ぐモダン民家

江戸後期から明治・大正にかけての古い町並みが今なお残る、愛媛県内子町。
その内子町に本社を構える西渕工務店では、
大工や左官の伝統的な職人技を生かしつつ、
現代の暮らしに調和する住まいを提案している。

愛媛県松山市 注文住宅 西渕工務店 小池邸
設計=㈱西渕工務店一級建築士事務所 施工=㈱西渕工務店 写真=川辺明伸 文=上野裕子

存在感たっぷりの
太鼓梁の下、食を楽しみ、
家族で語らう

土間玄関からリビングに入ると、ひと抱えはありそうな太い松の梁が目に飛び込んでくる。古色仕上げの梁や柱が白い漆喰壁に映える空間は、古民家のような落ち着いた雰囲気を醸し出す。

この家に暮らして4年が経つという小池哲さん・千晶さん夫妻は「家づくりにあたり、木のぬくもりが感じられることと、日本の伝統的な建築様式を踏まえていることは欠かせない条件でした」と振り返る。ハウスメーカーも含めて30軒以上の家を見学する中で、「50年、60年と住み継いでいく家を建てたいと考えたときに、最も納得できたのが西渕工務店だったのです」と話す。

設計面では、角地であり、通りを挟んでグラウンドが広がるという恵まれた敷地を生かして、南側の庭に向かって大きくひらいた間取りを希望した。さらに、料理が趣味だという哲さんの希望で、独立型の広いキッチンを設けた。「子どもたちも含めて家族全員で調理ができること、さらに皆で一緒に食事しながら会話できることを重視しました」(哲さん)。そのため、家族で食事するダイニング、お客さまを招いたときのリビングも十分なスペースをとっている。「リビングから庭を眺めるとほっとします」(千晶さん)。

職人技とデザインの
調和を若い世代が担う

小池邸の特徴である太い梁を見せた現しの天井には、無垢の木と大工の技が不可欠だ。同社社長の西渕菊寿さんは「家づくりは本来、地元の山から切り出し製材した木を、大工が組み上げてつくるもの。そうした伝統構法による家づくりを大切にしていきたい」と語る。そのため、同社では大工技の継承を大切にしている。「自社大工の半分以上が30代までの若い世代。その若い世代に、ベテランが材の見方や手刻みの方法などをていねいに伝えています」(西渕社長)。

さらに西渕工務店では、今では稀少な竹小舞土壁にも取り組んでいる。小池邸の土壁も、内子のベテラン左官職人が竹小舞下地を編み、漆喰を塗って仕上げた。小池さん一家はこの家に暮らして4年が経つが、四季折々に土壁の調湿効果や蓄熱効果を感じるという。「梅雨時や夏も湿気が気にならず、冬は薪ストーブ1台で暖かくなります。共働きなので2階ホールに洗濯物を干していますが、乾きやすいのもいいですね」(千晶さん)。

これらの技を生かすデザインも、同社の特徴の一つ。一級建築士である西渕社長を筆頭に、他3人の設計チームが設計力を磨いている。確かな技に裏付けられた若い感性もまた、西渕工務店の魅力なのだろう。

平面図

所在地 愛媛県松山市
家族構成 夫婦+子ども2人
面積 敷地 288.26㎡
延床 148.62㎡(1階 108.88㎡ 2階 39.74㎡)
竣工 2013年3月(工期2012年5月~2013年3月)
設計 ㈱西渕工務店一級建築士事務所[TEL]0893-44-3392
施工 ㈱西渕工務店
構造形式 木造軸組工法
主な外部仕上げ 屋根=淡路瓦
軒天井=杉板張り
外壁=漆喰、腰壁杉板張り
主な内部仕上げ 天井=土佐和紙貼り、杉板張り
壁=漆喰塗り
床=檜板、杉板張り

チルチンびと92号掲載|電子書籍でご覧いただけます。

株式会社西渕工務店
〒791-3310 愛媛県喜多郡内子町城廻376-1

入った瞬間にふわりと香る木の匂い
心を豊かに、からだを健やかに暮らせる住まい
そして、長い年月を安心して暮らせる住まいを。
主張はたくさんありますが、控えめに、真面目に家づくりに取り組んでいます。

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