昭和期の平屋を快適に暮らせる住まいに

愛知県名古屋市 エコ建築考房 リフォームモデルハウス「ここんの家」
東海

大きな屋根の、丈夫な 無垢材の家

一宮本社の敷地内に建つ、築60年ほどの平屋建てを
リフォームした「ここんの家」。
このモデルハウスでは、エコ建築考房が提案する
リフォームの心地よさを体感することができる。

愛知県一宮市 エコ建築考房 リフォームモデルハウス「ここんの家」
設計・施工=㈱エコ建築考房 写真=西川公朗 文=上野裕子

家づくりを通じて
持続可能な社会を

2021年1月末、愛知県一宮市にあるエコ建築考房の敷地が拡張され、住まいと暮らしの体験展示場「econos」としてグランドオープンした。今までの本社・ショールーム、薪ストーブの店「暖々」に加えて、住宅展示場から移築したモデルハウス「くほんの家」と、リフォームモデルハウス「ここんの家」が新たに加わったのだ。

エコ建築考房の喜多茂樹社長はeconosオープンについて「私たちがめざすのは、よい住まいをつくり、お客さまに長く住んでいただくこと。敷地拡大にあたっては太陽光発電など再生可能エネルギーを採用しました。これまで取り組んできたFSC認証材使用とあわせて、家づくりを通して持続可能な社会に貢献したいと考えています」と語る。

そうした思いは、住宅展示場から移築したモデルハウス「くほんの家」と、リフォームモデルハウス「ここんの家」にも反映されている。「くほんの家は、2016年にエコ建築考房が初めて住宅展示場に建てたモデルハウスだ。「地域でも知名度の高い展示場への出展は思い切った決断でしたが、お客さまにも好評でした。ところが2019年に展示場が閉鎖することになったのです。出展している30棟以上の家が全棟壊されゴミになる中、弊社だけはいいものを長く使うモットーを貫くために移築を決めました」(喜多社長)。一方「ここんの家」は、土地を取得した際の古家を全面改修したもの。「せっかく家があるなら、壊すのではなく、改修してお客さまに見ていただけるようにしようと考えたのです」(喜多社長)。「ここんの家」の改修設計にあたっては、リフォーム部所属の3名の設計士により、お子さんが独立したシニア夫妻を住まい手に想定したコンペが行われ、鵜飼攝子さんの案が採用された。鵜飼さんはプランについて「21坪の小さな平屋を、快適に暮らせるように設計しました」と話す。

既存のよさを残して
安全・快適な家に

間取りの面での特徴は、東屋を配した和庭との一体感だ。庭を眺めながら過ごせるように、リビング・ダイニングにL字型に畳敷きのベンチを配し、開口部の外には濡れ縁を設けた。「改修を選ぶお客さまは、元のお住まいに愛着をもたれている方がほとんど。今回の改修でも、元の家のよいところは生かしたいと、使用できる梁は改修前のものを残しています。また、洗面コーナーに古建具を使うなど、元の家の部材を活用する提案もしています」(鵜飼さん)。

改修に際しては住み心地の向上を重視。耐震性や断熱性にこだわり、基礎・土台・構造のみを残したスケルトン状態からていねいに改修を行った。リフォーム部を率いる江口勝憲さんは「50年以上前の建物なので、今の法律では筋交いの強度が足りません。そこで、TRCダンパーという、地震エネルギーを吸収して揺れを低減する新技術を採り入れました。古い家でも、改修によって安全な住まいを実現できます」と説明する。さらに動線の面では、セミクローズドタイプのキッチンを中心に回遊性をもたせ、20坪強という建坪ながらゆったりと生活ができるように工夫されている。

1月末のオープン以来、訪れるお客さまの評判も上々だという「ここんの家」。エコ建築考房が提案する「大切に長く住める家づくり」の新たなかたちを示している。

 

エコ建築考房 平面図

 

所在地 愛知県一宮市
家族構成 夫婦2人(想定)
面積 敷地 69.57 ㎡ 平屋建て
竣工 2020年10月(工期2020年2月~10月)
設計・施工 ㈱エコ建築考房
構造形式 木造軸組工法
主な外部仕上げ 屋根=ガルバリウム鋼板立て平葺き
軒天井=化粧垂木杉化粧野地板
外壁=ラスモルタル下地、コットンウォール塗り、一部角波ガルバリウム鋼板張り
主な内部仕上げ 天井=和紙、悠久楽土
壁=プラスターボード厚12.5の上、悠久楽土
床=杉フローリング厚38mm

 

チルチンびと別冊62号掲載

 

株式会社エコ建築考房
〒491-0079 愛知県一宮市九品町4-22
 
「愛知・岐阜で本物の健康住宅を考える」
住まい手の命や生き方を考えて安心できる素材を使い、地域にとけ込んだ一過性でないデザインを考え、
空気の流れや日当たり、気候などを活かした環境に共生できる家づくりを提案しています。

 

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