幸せの薪ストーブ家族十景
幸せの薪ストーブ家族十景
薪ストーブが紡ぎ出す家族の物語
家中をやさしいぬくもりで満たしてくれる冬の主役、薪ストーブ。
薪ストーブを愛してやまない皆さんに聞いた、
薪ストーブをめぐる家族の物語をご紹介します。
薪ストーブ好きが
高じて奥さんが薪屋をオープン!
鳥取県 齋藤さん一家
もともと薪ストーブに関心があったわけでもなく、アウトドアとも無縁だったという会社員の齋藤秀貴さんと、専業主婦であったふしみさん夫妻。自邸の新築を機に訪れた薪ストーブ販売店でその魅力に触れ、設置を即決した。1年目、薪用に近所の庭や公園から出た木をわけてもらっていたところ、「斧を振るのが楽しくて」(ふしみさん)、思いのほかたくさんの薪ができてしまった。そこで、地元のレストランのピザ窯用に薪を譲ったことがきっかけとなり、なんとついにはふしみさんが自宅のガレージで、ストーブのショールームを兼ねた「薪屋りおねる」をオープンすることになったのだ。現在は会社勤めの秀貴さんとともに、薪をせっせとつくる日々を送っている。
薪ストーブへの愛はとどまるところを知らず、自宅の1階と2階に各1台、ガレージに2台のストーブを設置した。薪ストーブとの出会いから新たな人生が始まった夫妻と愛犬3匹の一家。冬本番を迎えこれから多忙な日々が始まる。
薪ストーブDATA
バーモントキャスティングス
アンコール(2階メインリビング)、
ヒタ Inspire(1階小リビング)
ほか全4台
使用期間:毎年9月25日( 秀貴さんの誕生日)〜5月中旬頃
使用時間:朝5時〜2時間と夕方16時〜就寝
シーズン薪使用量:約7㎥
「薪屋りおねる」
最新情報はFacebookにてお知らせ。
鳥取県米子市尾高388-5
☎0859-57-3589︎
南部鉄の羽釜で
ごはんを炊きたい!
東京都杉並区 北沢さん一家
建築家であるご主人の聡さんは、薪ストーブに合わせて、自身で設計し、息子さんの協力を得て完成させたオーブンを設置している。自作に至ったのは、もともと20年来使用してきた薪ストーブを修理する過程で、薪ストーブに新たな機能を盛り込めないかと考え始めたのがきっかけ。
ごはんを炊く以外にも、食器や食事のウォーマーとしてや、オーブン機能、熱の輻射面積を増やす、安全性を高めるなどさまざまなアイデアをもとに今の形に到達した。
ごはんは毎日薪ストーブで炊く。ウォーマー機能は、食事の保温にはもちろん、家族全員分の湯たんぽを温めるのにも活躍しているそう。
薪ストーブDATA
ダッチウエスト
スモールコンベクション
+自作のストーブ
使用期間:12月中旬〜3月頃
使用時間:夕方〜22時頃
シーズン薪使用量:約4.5㎥
北沢聡+空間・機械研究所
SPACE・MACHINE
東京都杉並区善福寺4-3-4
☎03-3395-5836
昨年自宅を新築した野田さん一家は、夫妻と中学生の娘さんの3人家族。当初は薪の調達などの心配から、設置を悩んでいたが、「家族がストーブのまわりに集まって過ごす時間が増えたのでよかった」と話す。
薪は近所の植木屋さんからもらうなど、問題なく調達。今ではご主人、「道具にこだわってしまい、そっちにコストがかかる(笑)」ほどすっかり薪割りにはまってしまったのだとか。ストーブの季節には、家族がそろって自然と早起きになり、薪ストーブの火入れから1日が始まる。「子どもも一緒になって、誰がいちばん上手に火をつけるかを競っています」。
薪ストーブDATA
ネクターピキャンオーブン
使用期間:11月後半〜3月頃
使用時間:朝〜就寝前
シーズン薪使用量:約7㎥
夫妻と高校1年生の長女、小学6年生の長男、4年生の次男の5人家族。自宅に薪ストーブを入れたきっかけはご主人が4年前にふと目にした新聞記事。ストーブを囲む家族の写真に漂う、あたたかい家庭の雰囲気に惹かれたのだという。
SNSで薪の情報収集をしているご主人。ストーブユーザーが集うコミュニティで知り合った人たちと山へ薪を調達に行く。「山へ行ったり薪割りをしたりなど、休日にせっせと働く親父の姿を子どもたちに見せたい」という思いもあったとか。
薪割りはもっぱらご主人の担当だが、長女も時どきお手伝い
薪ストーブDATA
ドブレ640
使用期間:10月下旬〜4月頃
使用時間:24時間
シーズン薪使用量:約10㎥
玄関土間が
第2のリビングに
岩手県 滝澤さん一家
協力:住工房 森の音 ㈲美建工業
滝澤邸のリビングは2階にあるため、当初は薪ストーブを2階に設置することも考えた。しかし、寝室のある1階の寒さや薪を運ぶ労力を考え、1階の玄関土間に設置することにしたのだが、それが大正解。冬になると、入浴後から就寝までのひとときを、薪ストーブを囲みながら家族皆で過ごすのが至福の時間だと教えてくれた。夫妻はストーブでつくった料理をつまみにお酒を楽しみ、子どもたちは本を読むなどして過ごす。薪ストーブのまわりが第2のリビングとなった。
薪ストーブDATA
ダッチウエスト コンコード
使用期間:11月〜3月
使用時間:夕方〜就寝前まで(週1〜2回)
シーズン薪使用量:約5〜6㎥
灰の再利用で、
地域の人や伝統工芸とつながる
徳島県 中村さん一家
中村敏也さん、雅子さん夫妻は、愛猫4匹、愛犬1匹とともに、薪ストーブライフを楽しんでいる。県外から移住してきた夫妻は、薪ストーブがもとで広がった地域とのつながりを強く実感しているそう。「薪用の木をわけてもらったことで交流が深まりました。地元の人とつながれたのは本当にありがたいこと」(敏也さん)。また、薪を燃やしたあとの灰は、近所の農家の畑の肥料や、地元の藍染め工房の材料として再利用してもらっている。「地元の農家さんや伝統工芸に貢献できるのはうれしいですね」(雅子さん)。
中村さん一家はセルフビルドのログハウスに暮らす。
薪ストーブDATA
バーモントキャスティングス
レゾリュート・アクレイム
使用期間:11月中旬〜4月上旬
使用時間:8時〜10時頃
シーズン薪使用量:約15㎥
20年ほど前に自宅を新築するのを機に、ご主人たっての希望で薪ストーブを入れたという伊与久さん。「最初は主人の『男のロマン』なのかなと思っていたけど、そのあたたかさや家族で火を囲む時間は本当に楽しいですね」と奥さん。農家出身のご主人の実家には囲炉裏があり、幼い頃から炎を見ながら暮らしていたという。そんな記憶の原風景が薪ストーブへの思いにつながったのではと話してくれた。成人した二人のお子さんたちも「家を建てるなら薪ストーブを入れたい」と話している。ご主人の記憶からつながる「炎のある生活」はこの先も継承されていきそうだ。
年一度の煙突掃除はご主人が行う。道具を一部見せてもらった。
薪ストーブDATA
バーモントキャスティングス
アンコール
使用期間:10月〜3月
使用時間:早朝〜就寝前まで
シーズン薪使用量:約4〜6㎥
薪ストーブでじっくり煮込む
「ほったらかし料理」
山梨県 佐藤さん一家
「季節のなかで冬がいちばん好き。いつも薪ストーブで豆がコトコト煮えるから」。そう話すのは、夫婦で東京から山梨に移住し、宿を営む佐藤さんの奥さん。冬は常に天板の上に鍋が載る。花豆は2日間ふやかして、できれば2日間煮る。そのほか鳥手羽と玉ねぎ、トマト缶を入れてシチュー風に煮たり、味噌づくりのため大豆を煮ることも。「薪ストーブでコトコト時間をかけてつくる料理、その時間だって楽しいの」と奥さん。家族で火を囲む食事は、ご主人の理想でもあった。「火には愛着と恐れ敬う気持ちもあって、薪ストーブの炎を見ていると思い出すんだよね。いろいろと」(ご主人)。
鶏肉とトマトのシチューもストーブの上に置いておくだけ。
薪ストーブDATA
セミオーダー(鐵音工房)
使用期間:10月下旬〜3月頃
使用時間:24時間
シーズン薪使用量:約9㎥
リフォームをきっかけに訪れた石川県の工務店、さとやま工房のモデルルームで薪ストーブを体験し、そのクリーンな暖かさに惹かれて設置を決めた呉藤夫妻。もともともてなし好きの夫妻だったが、薪ストーブが来てからというもの、お客を招く機会が特に増えた。毎年冬には、ご主人が趣味で習う水彩画教室のお仲間が呉藤家のリビングに集い、薪ストーブのスケッチを楽しむという。また、離れて暮らすお孫さんたちと一緒に、薪棚に薪を並べる作業も、夏休みの恒例行事。まだ小さいお孫さんたちは毎年楽しみに呉藤家にやって来る。「薪ストーブのおかげで年中たくさんの人が集まって来てくれるのがうれしいですね」(奥さん)。
薪ストーブDATA
スキャン CI-10GL CB
使用期間:10月下旬〜4月中旬
使用時間:早朝〜就寝前
シーズン薪使用量:約3㎥
夫妻と8歳・5歳の元気な姉妹の4人家族。薪ストーブありきで土地を探して新築を計画、2013年の竣工から、今年で6回目の冬を迎える。実家が農家で、山も持っていたというご主人は子どもの頃からチェーンソーの扱いには慣れており、薪は林業の業者から購入した原木を自ら製材している。火をつけるのが何よりの楽しみと話すご主人、「シーズン外でもチャンスがあればいつでもつけたい」と笑う。
料理の楽しみも薪ストーブの魅力。奥さんがつくるおでんなどの煮込み料理は抜群の美味しさだ。さらにはストーブで焼き芋をつくるためだけに、なんと庭に畑をつくってサツマイモの栽培まで始めたそう。「甘くて美味しい焼き芋に子どもたちも大喜びしています」。
庭の畑で立派なサツマイモを収穫してニッコリの姉妹。
薪ストーブDATA
ヨツール F400
使用期間:10月下旬〜3月頃
使用時間:24時間
シーズン薪使用量:約3〜4㎥
この記事へのコメントはありません。