大工技が光る継手と仕口
大工技が光る継手と仕口
継手とは梁と梁、柱と柱など材の長さを長くする接合する技術。
継手を省き長尺材を1本で使うほうが構造的には有利。
仕口とは柱と梁や桁、土台あるいは梁と桁など二つ以上の材が、
直交または斜交する箇所で組む接合する技術。
「継手と仕口」は伝統技の結晶です。
文=丹呉明恭 写真=西川公朗
木造住宅の骨組は、土台の上に柱を立て、その柱の上に梁を架け渡してつくられます。古来より木で建物をつくってきた日本では、骨組をつくる技術が確立されて、今日まで伝えられてきました。それらの技術は、木と木を組み合わせる接合部の技術と木と木を長く繋ぐ技術に大別されて、仕口と継手と呼ばれています。
木構造の仕口や継手の技術は、構造材として乾燥収縮や、木それぞれの強度に微妙な差があるというやっかいな性質を、どうしたらより丈夫に組み合わせることができるか、どうしたらより頑丈に継ぐことができるか、という課題に取り組んできた職人たちの工夫や知恵の集積です。古民家の土間に架け渡された大きな柱や梁の架構は、それがすべて見えるために、どうしたら美しく組めるのかという課題も付け加わります。それらを刻んだ職人は、自分の仕事がわずか数十年でなくなるとは思っていなかったはずで、時間を超えて生きながらえることをめざして木に向き合っていただろうことは、容易に想像されます。
我々が、古民家の梁組に魅了されるのは、そこに、木と人間との長く、懸命な応答の歴史が結晶しているためだと思われますが、今なおそれらの技術に挑戦するのは、木との応答が木の家づくりに必然的なことだと思えるからです。
追っ掛け大栓継ぎ
よく使われる継手のなかでは、いちばん耐力が大きくて信頼感が大きい。側面に2本の込栓が見える。
写真提供=丹呉明恭
金輪継ぎ
追っ掛け大栓継ぎの次に耐力がある。梁の噛み合わせ部分に栓を打ち込んで繋ぐ。
台持ち継ぎ
小屋梁によく使われる継手で、継手の上に束を立てて、屋根の荷重で押さえ込む。
渡り腮
下の梁に直交する上の梁を載せ掛ける仕口で、木の特性に素直な方法で安心感抜群。木造の歴史の初めから使われていた。
写真提供=丹呉明恭
ホゾ差し鼻栓打ち
通し柱に梁を取り付ける方法の一つ。梁の先端のホゾを柱から突き出し、そこに鼻栓を打って止める。
長ホゾ込栓打ち
柱や束の上下のホゾを長くつくって土台や梁に差し込み、側面から込栓を打って止める接合部の基本形。
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