子どもたちの笑い声が家のどこにいても響く

子どもたちの笑い声が
家のどこにいても響く

家はとくに大きくなくとも、
広がりを感じさせることは十分に可能。
設計を業とするご主人はそう考えていた。
さまざまな工夫と、それをかたちにする大工の腕により
子どもたちがのびのび育つ家が完成した。

埼玉県北本市 注文住宅　蓮見工務店　蓮見邸
設計・施工＝㈱蓮見工務店　写真＝鈴木和宏　文＝角丸泰子

中庭で味わえる
外遊びの楽しさ

リビングで、小学生の長女と幼稚園に通う長男が熱心にお絵描きしている。と、1歳4カ月の次男が中庭に張り出したデッキのほうへトコトコ歩き出す。長女がさっと立っていき、転びそうになった小さい弟を抱きとめる……。蓮見さんの新居では、そんなほほえましい光景がいつも展開されている。

「子どもが3人いると大変でしょってよく言われるけれど、上の子が下の子を見てくれるので、そうでもないんですよ」奥さまが屈託なく話す。実は、一家が仲よく暮らす家を設計したのはご主人。「蓮見工務店+蓮見建築設計事務所」を兄上とともに経営するが、以前は和の住まいを得とする八王子市の「番匠設計」で住宅の設計に携わっていた。

「自宅といっても、特別なことは何もしていませんが（笑）。ただ、大きな家ではなくとも実際より広く感じさせようという意識はありました。あと、内と外の中間的な場として中庭は欲しかった。光も風も入るし、最近は子どもが外で遊ぶのも難しいですからね」

玄関を入ると右手がホールで、リビングとの間をつなぐ渡り廊下の位置にキッチンを設けた。デッキはキッチンとリビングの両方に面し、建具をすべて引き込むと全体がひとつながりの空間に。一方、玄関を挟んでホールの反対側には離れのような和室がある。奥さまの両親などがこられた際、気兼ねなく泊まってもらえるよう、あえて日常の場とは別にした。

さらに、リビングが平屋なのに対して玄関や和室の部分を2階建てとし、上階に夫妻の部屋と子供室を配置。後者は机やベッドが造り付けになっており、コンパクトながら機能面で不足はない。

大工技術の高さが
「気持ちいい」に

ご主人のこだわりはもう一つ。なるべく木を多く見せることがそれだった。限られた予算のなかで、材をそれほど吟味はできないものの、工務店が手がける以上は「木の家」らしい落ち着いた雰囲気を表現したかったと述懐する。

材については、柱が九州産の杉、梁はベイマツ。床はブラックチェリーとチェリーを場所ごとに使い分けた。デッキも含め外部材には雨や日差しに強いベイスギを用いている。壁は塗り壁材のベルアートだ。あわせて、建具はほとんど既製品でなく建具屋でつくってもらったことも、大きな特色といえるだろう。

「造作には、かなり手をかけています。たとえば、ホールからキッチン、リビングまで、デッキ側の天井がどこも同じ高さでぐるっと回っているのは、そこで一体感を出そうと意図したためです。そのぶん施工の難易度は高く、腕の立つ大工さんも苦労していました」

施工精度の高さは、この家を訪れた方々にも、理由は分からないながら心地よいと感じられるものらしい。

「子づれで遊びにきたママ仲間が、リビングに入ると、なんとなく気持ちいいわって。思い思いにくつろいでいる（笑）。私も1日の大半はここにいます」と奥さま。他方、ご主人のお気に入りは浴室だそうである。子どもたちを入浴させるのはご主人の日課だが、親子4人ゆったり入れる大きさがうれしい。

入居して半年足らず。思うままに動き回れるせいか、次男の足腰もしっかりしてきた。家族がともに過ごす時間を大事にするというライフスタイルは家が広くなっても変わらない。それが何よりよかったことだねと、夫妻は顔を見合わせた。

「子どもたちも育ちざかりですし、開放感のある空間で、のびのび遊ばせたい。そんな願いがようやく実現できてホッとしています」（ご主人）

チルチンびと 別冊30号掲載

株式会社 蓮見工務店
〒364-0005 埼玉県北本市本宿6-31
 
私たち蓮見工務店は、「工務店」+「設計事務所」
ならではの、手づくりの家づくりときめ細かいアフターメンテナンス、
そして設計事務所として培ってきたデザイン性、
高性能な家を提供させて頂いております。