薪ストーブでつくる 父と娘のさとやまディナー
![薪ストーブでつくる 父と娘のさとやまディナー](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/01.jpg)
薪ストーブでつくる
父と娘のさとやまディナー
神奈川県相模原市 長野邸
写真=米谷 享 レシピ監修=長野修平
むかごのピラフ風炊き込みごはんに、
朴葉で香り付けしたローストビーフ、
根菜をふんだんに使った薬膳スープ。
身近な滋味を薪ストーブで
仕上げた、心と体にやさしいレシピ。
長野修平さん、朱里さん親子に教わった。
![長野邸の薪ストーブまわりには調理器具も多い。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/02-1.jpg)
![薪ストーブトップでフライパンを熱し、ローストビーフに焼き目をつける。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/03-1.jpg)
「うちのメインの暖房は薪ストーブ」と長野修平さん。娘の朱里さんは早くから焚き付けを覚え、「仕事の都合で僕も妻も次女も不在にした寒い日があって、朱里はまだ中学生だったと思うけど、薪ストーブをつけて過ごしたんだよね」「スープかなんかもつくったんじゃなかったかな」と朱里さん。二人が分担して料理をする手際を見ても、父に鍛えられたさすがの腕前だ。
「僕は下戸だけど、宴会を開いたり、人を喜ばせる振る舞い料理をつくるのは大好き」という修平さんは、かつては料理人として厨房で働いていたこともあるそうだ。自然を生かすネイチャークラフト作家の一面も垣間見えたこの日、披露してくれたのは自然の恵みをふんだんに使った遊び心あふれるレシピだ。アウトドアの達人でもある修平さんは、家族を連れてキャンプにもよく出かける。
「薪ストーブ料理のほとんどは、焚き火でも再現できる。覚えておくとキャンプでも使えます」(修平さん)。
冬の日、薪ストーブで少しだけ時間をかけて、友人や家族みんなで旬を味わう。薪ストーブ料理のおかげで、寒くなるのが少しだけ待ち遠しくなる。
長野さんちの薪ストーブ(準備編)
ストーブトップ
薪ストーブの天板部分
![ストーブトップ
薪ストーブの天板部分](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/04-1.jpg)
![ストーブトップ
薪ストーブの天板部分](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/05-1.jpg)
「薪ストーブのストーブトップを外すと、トップが高温にならないための鉄板が入っています。これを外すことで、トップの温度が上がるため、煮込み料理が簡単にできるようになる」(修平さん)。
燃焼室
火をくべる場所
![](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/06-1.jpg)
ドブレシリーズは左手の窓からも薪をくべられる。
![焚き付け材を高さが出るよう積み上げる。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/07-1-200x300.jpg)
❶ 新聞紙などの紙、小枝や落ち葉を乾燥させた焚き付け材を高さが出るよう積み上げる。
![⻑野さん流の着火剤はシラカバの樹皮。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/08-1.jpg)
❷ ⻑野さん流の着火剤はシラカバの樹皮。十分に乾燥させると簡単に手で剥くことができ、よく燃えるためキャンプの際にも活用できる天然の着火剤なのだとか。
![ひと回り大きい枝や木をふんわりと積み重ねる。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/09-1.jpg)
❸ ❶の上にひと回り大きい枝や木をふんわりと積み重ねる。
![シラカバの皮を着火材がわりに火をつける。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/10-1.jpg)
❹ シラカバの皮を着火材がわりに火をつける。
![火が大きくなってきたら、大きめの薪をくべて火力を上げる。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/11-2.jpg)
❺ 火が大きくなってきたら、大きめの薪をくべて火力を上げる。本体温度200℃くらいが目安。
![燃焼室で調理しやすいようにならす。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/12-1.jpg)
❻ 温度が十分に上がったら、薪をくべるのをやめ、燃焼室で調理しやすいようにならす。炭が赤く燃える熾火の状態が理想的。
むかごのピラフ風炊き込みごはん
ほくほくのむかごに
オリーブオイルのいい香り
![むかごのピラフ風炊き込みごはん](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/13-1.jpg)
![むかごのピラフ風炊き込みごはん](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/14-1.jpg)
材料(4人分)
三つ葉 ……1束
お米 ……2合
むかご …… 取れた分(この日は1カップほど)
オリーブオイル …… 50ミリリットル
塩 …… 大さじ1
水 …… 450ミリリットル
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①むかごとお米はよく洗い、水気をきっておく。お米は30分程度浸水させてから、ざるに上げておくとよい。
②ストーブトップにかけた耐熱鍋にお米、むかご、オリーブオイルを加えてなじませる。お米が半透明になればOK。
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③水を450ミリリットルと塩を加えて蓋を閉め、あらかじめ熾火にした燃焼室にかける。温度が落ちている場合は、そのつど薪をくべて再加熱する。
④沸騰する直前で鍋を燃焼室から出し、ストーブトップでじっくり15分ほど加熱する。
⑤蓋を開け、水気がなくなっていれば炊き上がり。5センチ長さに刻んだ三つ葉を加え、さっくりと混ぜ合わせる。蓋をして、10分ほど蒸らして出来上がり。
長野流・野草ローストビーフ
下味しっかり
薪ストーブでじっくり
![長野流・野草ローストビーフ](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/17-1.jpg)
![](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/18-1.jpg)
材料(4人分)
牛塊肉 ……1キロ
人参 ……1本
じゃが芋 …… 中5個
玉ねぎ ……2玉
南瓜 ……1/4個
ニンニク ……1片
塩 …… 大さじ2
黒胡椒 …… 20粒
朴葉 …… 5枚
![焼きむらをなくすため、牛塊肉の筋と脂身をとる](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/19-1.jpg)
①焼きむらをなくすため、牛塊肉の筋と脂身をとる。この筋と脂身はスープの具材に使うので取っておくこと。
②塩とすり下ろしたニンニク、黒胡椒を牛肉全体に擦り込んでなじませる。
![ストーブトップで予熱したフライパンで、牛肉表面に焼き色をつける。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/20-1.jpg)
③玉ねぎは皮付きのままくし切りに、人参は皮を剥いて乱切りに、南瓜とじゃが芋は皮付きのまま一口大に切っておく。朴葉はよく洗い、キッチンペーパーなどで水気を拭き取る。
④ストーブトップで予熱したフライパンで、牛肉表面に焼き色をつける。
⑤㆒度牛肉をフライパンから取り出す。
![焼き色をつけた牛肉と野菜を並べる。](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/21-1.jpg)
⑥フライパンに朴葉を敷き詰め、焼き色をつけた牛肉と野菜を並べる。皮付き野菜は皮目を下にすること。
※朴葉がない場合は、ローズマリーやローリエなど香り付けのハ
ーブで代用しても美味しい。
![](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/22-1.jpg)
⑦フライパンの蓋はせずに、熾火状態の燃焼室にかける。
⑧20分ほど火を通したら、牛肉の内部温度を確認する。鉄串を中心部分まで刺し込み、先端温度が50℃ほど(手の甲に当ててやや熱いと感じる程度)であればOK。
![](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/23.jpg)
⑨牛肉だけを取り出し、アルミホイルで包んで休ませる。ホイル内に溜まる肉汁は味付けに使えるのでこぼさないように注意する。
⑩野菜は燃焼室に戻し10分ほど加熱する。鉄串がすっと入るようになれば完成。
⑪味付けには取っておいた肉汁をベースに塩胡椒で味を調えたものが最もシンプル。お好みで山椒のオリーブオイル漬けなどを添えても◎。
根菜の台湾風薬膳スープ
スープは薪ストーブの得意分野
具材を入れて、放っておくだけ
異国のスパイス香る冬のごちそう
![根菜の台湾風薬膳スープ](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/24.jpg)
![](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/25.jpg)
材料(4人分)
牛筋 …… 200グラム
大根 ……1/2本
人参 ……1本
ニラ …… 半束
スパイス …… 120グラム
塩胡椒 …… 少々
生姜 ……1片
①大根と人参は厚めに皮を剥き、それぞれ一口大に切る。牛筋も一口大に。
②生姜は皮付きのまま薄くスライスに、ニラは5センチ長さで切っておく。
③1と生姜をダッチオーブンなどの耐熱性の鍋に入れ、材料がひたひたになるくらいの水を加える。この時、スパイスもすべて加える。
※この日使ったのは修平さんが台湾で買い求めた代表的な薬膳スープ「冬虫草鶏湯」のキット。ネットショップなどで購入可能。
④燃焼室にかけて、加熱する。
⑤沸騰直前になったらストーブトップに移し、ゆっくり加熱する。根菜類に火が通ればOK。
⑥食べる直前にニラを加え、蓋をして5分ほど蒸らし、出来上がり。
![](https://www.chilchinbito-hiroba.jp/housing/home/wp-content/uploads/2024/12/profile.jpg)
長野修平(ながの しゅうへい)
アトリエNATURE WORKS主宰。身近な自然の中にあるものを活用するネイチャークラフト作家兼、野草を使った料理を得意とする野草料理人。
今回の調理に使っているお玉やトングなどもお手製。モーラナイフ公認の日本・台湾アンバサダー。著書に『里山ライフのごちそう帖』(実業之日本社)、『東京発スローライフ』(オレンジページ)など。
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