
山崎 洋子
やまさき ようこ
我が子のための本選びがこうじて、スタッフに。長年、子どもの本を読むお母さんの会で活動。ピアノとダンスと5月が好き。

“ころころころ…。 まぁるいものは きげんがいい。
まぁるいものは やわらかい。
まぁるいものは はじまり。
そして つながっていく。
手の中にすっぽりとおさまる丸い木の玉。その心地よさに思わず撫でなでしてしまう。ころころころと自由に転がる様子に心も躍る。時には弾んだり曲がったりと、物語が始まりまた続いていく。静まり返った平穏に様々な波紋を投じる…シンプルでまるで生きているようなまぁるいもの。
『あめだま』
一人ぼっちのドンドン。仲間に入れてもらえないのでいつもひとりで遊ぶ。ビー玉を買いに行って見つけた飴は、どこかで見た色。ためしに一個口に入れてみると、オレンジ色の飴玉からはソファーの声、ブチ模様の飴からは犬のグスリの声が、次は…。
飴玉から聞こえてくる心の声に胸がきゅんとなる。お父さんの小言もリアルで、大人を代弁しているようで心にしみる。バイバイと落ち葉が散る場面は、今までの自分にさよならをしているようで印象的なシーン。最後に残った透明な飴からは何も声が聞こえてこないので、ドンドンが自分から言葉をかける展開もいい。
あなたは、誰の心の声を聞いてみたいですか。