腸内環境を整える発酵食。

日本古来から引き継がれる伝統的な発酵食といえば、味噌や醤油、納豆などがその最たるもの。ほかにも、その枠を広げれば、チーズやくさや、ヨーグルト、塩麹、甘酒、みりん、酒などアルコール類、また地方の伝統的な食べ物でも発酵由来のものがあります。そもそも発酵とは、英語ではfermentationと言いますが、ラテン語のfervereから派生したもので、わきたつを意味します。微生物の生命活動のひとつである発酵と腐敗は似ているようで、非なるもの。発酵とは人に対して有益にはたらき、腐敗とは、人に悪く働くものです。その違いは、微妙ではありますが、おおかた臭いをかいで、識別できます。発酵の種類をみると、乳酸発酵、アルコール発酵、酢酸発酵の３つに大別されます。乳酸発酵では、乳酸菌は糖類をえさに乳酸を生成、アルコール発酵では、酵母は糖類をえさにアルコールと炭酸ガスを生成します。酢酸発酵は、アルコールや糖類をえさに酢酸を生成します。歴史を紐といてみると、はるか昔の日本の縄文弥生時代の発酵は、「口かみ」という穀物や木の実などを口に入れて噛み、吐き出してためたものを発酵させたものが、口かみ酒となります。数年前に公開されたアニメ映画「君の名は」にもそのシーンが登場したのは、記憶に新しいところです。

気になる発酵食品についての五大効果といえば、保存性、栄養価、美味しさ、吸収率のアップ、腸内環境の改善に分けられます。味噌や醤油も長期保存が可能であり、発酵にかかわる乳酸菌などから腸内環境を整え、便通をよくしたり、発酵調味料を使うことで美味しさがアップしたり、また甘酒などでは、アミノ酸を含有し、栄養価が高く、江戸時代には夏場の時期には特に庶民の間で需要が高く、飲む点滴として重宝されていました。腸内には免疫の７０パーセントが占められていると言われます。外部から入ってきたウイルスや細菌などと戦うためには、免疫力を高めなくてはなりません。そのためには、腸内環境を整えることが大切です。発酵食は、腸内環境を整えるものとして有用であり、わざわざ作らなくても市販のもので買うことができます。もちろん、手作りした発酵食はこの上なく、美味しいものです。普段から発酵食を取り入れ、ウイルスなどに負けないカラダづくりを心がけていきましょう。

今回は、塩麹を使ったご飯がすすむ厚揚げのステーキレシピをご紹介します。