台風一過(2)
立の変奇館が何度も雨漏りにみまわれて往生したという話は何度も書いているような気がする。しかし、風の被害については、あまりふれていなかったのではないだろうか。
わが家の親子三人が国立に引っ越してきたのは、僕が中学の二年生になった頃だった。それまで、中学一年生として一年間は東横線の元住吉駅から、いまは住みたい町ナンバーワンの武蔵小杉駅を経由して南武線で谷保駅まで通っていた。そこから徒歩で登校していたのだ。
この道中だけで生来虚弱な僕はすっかり疲れてしまい、勉強どころではなかった。それはともかくとして、当時から冬になると木枯らしと共に砂塵が舞うことを、僕は両親よりも一年早く知っていたのだ。…