土地の変遷(2)
道を隔てた東側にあった二階建てのアパートが無人になり、しばらくそのままになっていたが、取り壊されて更地になり、売物件という大きな看板が建てられた。東側から、変奇館の全容を眺められることは、これまでなかった。こんな機会は滅多にあるものではない。僕はさっそくデジタル・カメラを手にすると、はじめて距離を隔てて眺めた変奇館を撮影した。実は、西側のアパートが取り壊されて更地になったときも変奇館の西側を、充分な余裕をとって撮影してある。
去年の初夏、市道を隔てた西北の奥様が変奇館を訪ねてみえた。滅多にあることではなく、何事かと思ったら、引っ越されるということで、我が家にも挨拶に来られたのだった。
僕は意外なことに絶句するのみだった。というのも、ほかでもない、このお宅は瞳が初めて国立に引っ越してきたときからのご近所なのだ。…