安西水丸さんが、3月19日、亡くなった。『チルチンびと』の連載「a day in the life」は、2000年 夏号から始まり、いまの79号で67回をかぞえる。連載以外にも、76号では「鳥取民芸の旅」、79号では「民芸ライフ」と、登場していただいた。ありがとうございました。ここに、3月初めの“ピープル”欄を再掲載して、安西水丸さんを偲び、ご冥福をお祈り申し上げます。
安西水丸さんは、本誌の連載「a day in the life」で、しばしば、民芸への想いを書いている。
ぼくは素朴な和が好きだ。風景でも世界遺産になっている風景よりも、何げない農村の風景などが好きだ。田舎を走る電車の窓から見る風景もいい。器などでも西洋の高価なものより、「用の美」、つまり土地の人が使うために焼かれた民窯の製品に心が動く。(57号・小さな和室の楽しみ)
木目の美しい一人用の栗の木のお盆に、作った料理を並べた時は我ながらいい気分だ。丼も味噌汁の椀も御飯茶椀も全て漆器(木目が気に入っている)を使っている。その他の器は、たいていが山陰地方で購入した民窯(中井窯や出西窯)で作陶したもので、どれも使い勝手がいい。(37号・台所の話あれこれ)
どうしたって、アトリエでコレクションを拝見したくなる。で、いざ、鎌倉山へ。安西さんは、上のイラストのように、出迎えてくださった。取材にうかがった、編集部 S の話。「マッチ箱のような形の家でした。建築家に、何もしないでほしい、と注文してつくったという話。その話、そのものの家でしたね。テラスから眺めると、樹樹の間に、ちらっと掌サイズの海が見えました。海も、さりげなく。すべて “水丸風” と思いました」
さて、その家のなかの様子は 『チルチンびと 』79 号 「安西水丸さんの民芸ライフ」を、ごらんください。「 a day in the life 」も、お読みいただけます。