『チルチンびと』108 夏号の特集は、「いい家の条件」。
その最初をかざる企画は、「昭和の棟梁が伝えたいこと」である。登場する棟梁の言葉は、それぞれに、それぞれの味がにじむ。
「湘南でいい家をつくる 技を極めた棟梁が伝えたいこと」は、加賀妻工務店の加賀妻会長。「私は15歳の時に、東京都杉並区の親方と5年間の契約を結んだわけです。修業中は早起きをして食事の支度や清掃をこなす。それから現場に急ぐと、刃物の研ぎ桶や砥石を並べ、棟梁の到着を待つ。……。
つぎは「江戸数寄屋大工の技を地元で伝える」福田建設の福田定利会長。「僕の真義は、山の木を預かったら切り出して製材し、墨付けして刻んで家をつくる。何もないところから家をつくるのがおもしろい。それが大工の楽しみだよ……」。
つぎは「大工は目配り、そして“木配り” 福島の木を生かし、地域の人材を育てる」。益子建築工業増子則雄会長。増子建築工業は、創業53年。福島県郡山市で生まれ育った大工・増子則雄会長が20歳の若さで設立した。地産材の活用こそが、地域の気候風土にあった家づくりにつながるという考えのもと「地場の木を用い、自社大工で家を建てること」にこだわってきた……。
話に風格がある。
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このほか、左官になった青年 / 吟味された素材・木の家で育む家族の時間 / よく考えられた設計・ゆるやかにつながる二世帯住宅 省エネ設計への取り組み / 木の家で暮らす人びとの健康と居住性についての長期調査・萬羽郁子 / 無垢の木の香りに包まれる健やかな住まい / 失敗しない工務店選び / 大人気 下町の陶人形作家「白亜器」芦田康裕……など、充実の160ページ。
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『チルチンびと』108 夏号は、風土社刊。6月11日発売です!