『日本の美邸』5号の発売です。今回の特集は「住まいの品性」。品性について、建築家・泉 幸甫さんの文章があります。まず、それをご紹介します。
〈住まいは、他の芸術と違って、美の他に強と用が必要とされる。美しければそれでよし、とする者もいるかもしれないが、それではなかなか住まいになり難い。強は長持ちし、地震に耐えるといったこと、用は機能的で快適といったことだが、住まいにはこの二つがいつも付き纏う。ここのところが他の芸術と違う。とはいえこの強や用だけでは、やはり人は満足しないものだ。……〉というのが、その書き出しで、最後は、こう、締めくくります。
〈…… 要は、美は多様であるが、個々のものへの執着や欲望の集合体でなく、それらの関係性やバランスといった、全体を構成する気遣いから、住まいの品性が生まれるものではないか。〉
人の性質は永久に前に進めるわけではない。引き算があり、足し算がある。…… というのは、品性についてのニーチェの言葉だったか。
さて、みなさんのお考えは。今号も、たくさんの「美邸」の事例を掲載。住まいの品性について、思いをめぐらすことができます。
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このほか、「作庭家・古川三盛の世界 久右衛門屋敷の茶事 / ホテリ・アアルト / 能登半島 珠洲焼 ・ 篠原 敬 / 注目のアーティスト・仁戸田典子 / といった記事など、充実の168ページ。12月19日発売。お早めに。
※一部電子書籍でご覧いただけます。