秋立ちぬ。『チルチンびと「地域主義工務店」の会』の無垢杢工房㈱イケダに、うれしい知らせが届いた。「第25回、マロニエ建築優良賞受賞」である。
栃木県内において、意匠形態等に優れ、文化性、芸術性を効力的に表現しており、将来のとちぎのまちをリードしていくような建築物を対象とすること……などと、応募要項にある。栃木県と関連する諸団体が主催している。
今回、受賞の対象となった作品は、「三島屋商店」。その応募時のプレゼン用資料を、ご紹介したい。
受賞作の講評に、こうある。「JR・東武日光駅から東照宮に続く参道沿いに建つ店舗併用住宅である。新潟の雪深い地に長らくあった古民家を移築再生した。…… 解体、運搬、移築 再生という多くの困難を乗り越え、機能性とデザイン性を兼ね備えるとともに、街並み景観形式にも大きく貢献する本作品は、マロニエ建築優良賞にふさわしいものとして選考した。」
無垢杢工房㈱イケダ社長の池田光一氏は言う。「マロニエ建築賞は、当初、木造建築はあまり対象にならなかったけれど、近年は少しずつ、木造建築も評価されてきていたから、もしかしたらイケルかなという思いもあり、安藤さんと一緒に出してみようということになりました。今回の移築建築に関しては安藤さんの古民家再生における設計知識とイケダの大工の技術がなければ、なし得なかった部分もあったと思います。うれしいですよ。今年は、住宅部門においても別物件でとちぎ県産材木造住宅コンクールでも知事賞も頂き、いい年になりました」
設計を担当した㈲安藤建築設計工房(長野県上田市)の安藤政英氏は言う。「建築場所は日光東照宮へと続く景観をもっとも意識しなくてはならない地域。建物は高すぎず、控えめな印象を残し、街並みの連続性を壊さないよう家並みを配置し、瓦、土、漆喰、木製建具に格子という伝統的な素材で作ろうと考えた」
マロニエは、初夏に花を咲かせ、秋に実をつける。イケダの仕事も、こんなふうに実を結んだのである。
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