『チルチンびと』誌上でもおなじみ、建築ジャーナリスト 平良敬一氏の著書が、風土社から、刊行された。
『平良敬一建築論集 機能主義を超えるもの』が、それである。
建築家・磯崎 新氏は、「対抗者 平良敬一」と題して、この一冊に、文章を寄せられた。ご紹介します。
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対抗者 平良敬一
対抗者の視座がある。抑圧されている側によりそって、運動を起こしている。事件の渦中に好んで入っている。
ユートピアが死んで、マニフェストが無効になった時代の近代建築を新しい媒体としての建築雑誌(メディア)をつくりだすことによって活性化する。
宮古島生まれのオキナンチュウヒララが記しつづけたのは、中心にある権力に対して、これを足元からゆすぶりながら崩していこうとする南島の風土に根づいた記憶にある。
いつも控え目ではにかんでいる。だが編集の手つきは過激である。
ゼネコンのつくった編集部にいながら、町の工務店の手仕事を扱うメディアをつくりはじめる。テクノクラートがつくる都市を批判して、エコがつくりだすすまいをさがす。
91歳のいまも、対抗者でありつづける。
磯崎 新
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《本書のおもな目次》
地域主義の可能性 / 機能主義を超えるもの / 空間から場所へ 技能の復権 /〈非都市化〉論 / 建築批評
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『平良敬一建築論集 機能主義を超えるもの』(平良敬一著)は、風土社刊。定価 〔本体3,000円+税〕。好評発売中。