七十二候・第二候
黄鶯睍睆(うぐいすなく)

2月9日~2月13日頃

 

耐熱器のこと

 

耐熱器のこと

立春を迎えると、寒さの出口が見えたような気がして心が浮き立ってきますが、実際には、一年でいちばん寒い頃合い。日々の食卓ではあたたかい(というより熱い)お料理を並べ、五臓六腑をあたためてあげたいものです。
この時期は鍋料理を作る方も多いと思いますが、その際にカギとなるのは、やはり土鍋でしょう。調理道具のようでありながら、食卓でうつわのような使い方もできる、便利なアイテムです。

土鍋は、普通の土を使うのではなく、火にかけても熱膨張しにくい耐熱土を使うことによって、直接火にかけられるうつわとして機能します。耐熱土の特長は、熱に対する強さだけではなく、“火持ち”がよいところ。土の中に隙間があり、そこに熱を溜めるため、保温性が高くなるのです。
また、耐熱土は遠赤外線を多く発するため、その効果で食材に芯からじんわりと熱を通すことができるのだそう。
これらのことは調理に有利に働くので、鍋料理はもちろん、炊飯や洋風の煮込み料理にも適した道具だと言えますが、“煮る”とか“炊く”とかいう定番の使い方以外に、“焼く”または”炒める”という選択があってもよいと思います。

よく、鉄板でハンバーグを供してくれるお店がありますが、あのイメージで、浅めの耐熱器をワンプレート料理に使ってみるのもよいかもしれません。
今回は、友人のフードコーディネーター・タカハシユキさんが、土鍋の名手・廣川温さんの耐熱プレートでオリジナルのワンプレート料理を作ってくれました。チキンは皮をパリッと焦げ目をつけて仕上げ、さらにプチヴェールや、ラディッシュの甘みを引き出し、オレンジをスライスにしてこれにも火を通して。
オーブンがなくても、ガスコンロを使って短時間で調理できるところがミソです。

お料理をあつあつのまま食卓へ―。
金属のフライパンで焼いたお料理をうつわに盛りつけるのもよいですが、寒い時期には、耐熱器が持つ“道具兼うつわ”という利点を活かしながら、いろいろな用途で使い回してみるとよいと思います。
暦の上で春とは言え、桜が咲く頃までは土鍋などの耐熱器に活躍してもらいましょう。