七十二候・第二十六候
腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

栗のプレート:コウノストモヤ

6月10日~6月15日頃

夏野菜を頬張る頃

最近、年を重ねると食の好みも変わるものだと実感します。
若い頃は野菜が嫌いで、なかでも特に葉物など青いものが苦手だったのですが、あとから気づいたのは、野菜が嫌いなのではなく、生野菜がそんなに好きではなかったということ。
若い頃は外で洋食を食べることが多かったので、付け合わせの副菜となるとほとんどの場合は生野菜のサラダ。
採りたての新鮮な野菜であれば、生で食べるのが一番おいしいのでしょうが、若者が行くような廉価の外食チェーンとなるとそんなに鮮度の良いものを使っているわけもなく、いつの間にか野菜は、体のために仕方なく摂取するだけの『おいしくない食材』という認識になっていました。

ところが、ローストした野菜のおいしさをフードコーディネーターのタカハシユキさんに教えてもらってから、夕飯は焼き野菜が主食に。ベジタリアンとかビーガンの方のようにしっかりとした主義主張を持っているわけではなく、ただ単に『おいしいから食べている』というだけに過ぎないのですが。
最近は、葉のもの、茎のもの、実のもの、豆類など、そのときどき、八百屋さんの店先やスーパーの旬のコーナーでおいしそうな野菜を物色するのも楽しみ。ほとんどの野菜は塩を振ってオリーブオイルで、動物性のこってり感を欲しているときはベーコンとともにフライパンで焼くと、生で食べるときより甘さがぐっと高まるように感じます。
味をしっかり決めて『炒める』のではなく、シンプルに『焼く』だけ、というところがいいんですよね。

焼き野菜は、生野菜に比べて嵩が減る分重みも出るので、サラダに使うようなボウル(鉢)に盛ると見た目があまりよくないかもしれません。僕はふだん、平たい形状のプレートにフラットに盛ることにしています。
野菜の色(緑、白、褐色、赤、黄色等)から考えると、白や黒の陶磁器と相性がよさそうですが、ナチュラルな木のプレートを使う……というのもアリ。
空豆やアスパラなど旬の野菜をさっと焼いて盛りつけると、視覚でも爽やかさが感じられ、ダイレクトに自然の恵みをいただいているような感覚をおぼえます。
最近はガラスコーティングという新しい技法でコーティングした木のうつわが増えていて、画像のプレートもこの技法を使ったもの。木材の風合いはそのままに、ほどよく耐久性があるので、食卓のさまざまなシーンで使えて便利ですよ。

今年もまたじめじめと不快な季節がやってきました。
僕もそうですが、『この季節が一番苦手』という方はけっこう多いと思います。食生活にもしっかり気を配りながら、ともに日々健康に過ごしてまいりましょう。

(栗のプレート:コウノストモヤ)