七十二候・第二十七候
梅子黄(うめのみきばむ)

minamoグラス:湯浅明子作

6/16~6/20頃

青い色をあしらったグラスで

人間の五感のうち、飲んだり食べたりする際に一番重視されるのは、間違いなく「味覚」ですが、それだけではなく「視覚」や「嗅覚」も重要な感覚だと、僕は考えます。
人はモノを口に入れる前に、まず見た目や匂いで、それが美味しそうであるか否かを判断するからです。
逆の言い方をするならば、美味しそうではない見た目と匂いのモノは、それがたとえ味覚で優れていても、美味しさが半減してしまう――ということにもなり得るでしょう。

画像は、梅のシロップをソーダで割ってグラスに注いだもの。
飲み物のうつわは、陶器や磁器のカップでもその役割を十全に果たしてくれることでしょうが、暑くじめじめした季節であれば、やはり視覚的に涼を演出してくれるガラスのうつわを使いたいものです。その際、クリアのグラスを使うのも素敵ですが、涼やかに見えるのは、やはり青い色があしらわれたものではないでしょうか。
こちらのグラスの場合は、冷たい氷に青いクラックが入ったような透明感のあるデザインなので、梅シロップの明るい黄色を消すことなく、青という色が持つ清々しさがソーダを美味しそうに引き立ててくれます。

このような「視覚」による効果に加え、グラスの中からふわっと漂ってくる梅の芳醇な香り(嗅覚)、疲労回復に効くというクエン酸とビタミンCによるさわやかな酸味(味覚)が相俟ったとき、このソーダを美味しいと感じることができるのだと思います。
また場合によっては、グラスから手に伝わってくる冷たさ(触覚)や、氷がグラスの中で鳴らすカランカランという音(聴覚)も、美味しさの演出に一役買ってくれるかもしれません。

今年もまた暑い夏になるという予報が出ています。
みなさんもうつわの助けを借りながら、持てる五感を総動員して暑気払いを。
美味しく栄養を摂りつつ、しっかりと心身の健康を保っていきましょう。

 

(minamoグラス:湯浅明子作)