新潟は、米、酒とならんで、“建築家どころ”でもあるらしい。「我ら新潟人」(『チルチンびと新潟』)で、田中敏溥、水澤悟、古泉丞という3人の新潟出身建築家が、懐かしく、楽しく語り合っている。
田中(村上市) 私の実家は、親父が茶業協同組合の事務所だったものを買い取って改装した建物。巴瓦には「茶」と書いてあって、下見板張りでペンキが塗ってあった。ちなみに村上市は北限の茶所といわれています。
古泉(新潟市) うちの物置も石置き屋根でしたね。私の子どもの頃には、もう古い建物はそんなに残ってなかったんですが、母の実家は当時でもまだ茅葺きでした。
水澤(南魚沼市) うちの近所には茅葺きの家が普通に残っていました。土間があって、家で牛やヤギといった家畜を飼っていましたね。それと、冬の家内仕事として蚕をほとんどの家で飼っていました。
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田中 いい家の条件というのは、日本全国で、そう大きく変わることはないと思うんですよ。たまたま雪が降るとか、たまたま台風の通り道だとか、こうした気候風土の違いを、私は「特殊性」と呼んでいますが、新潟の場合では、さっき挙げたような雪や風、湿気による暑さと雪の重さ……。これらの特殊性に配慮することが大切です。そして、もう一つは、自由な社会にある「個別性」。建主一人ひとりの要望を受け止めて家づくりを行うことです。そして、もう一つ、…
この続きは『チルチンびと新潟』― 新潟人のための住まいと暮らし、大特集 ― で、ぜひどうぞ。このほかに、新潟が生んだ建築家 田中敏溥 / 新潟・チルチンびと「地域主義工務店 」特集 / 植物で見る新潟の歴史と風土・倉重祐二 / 新潟の暖かい雪・卯田強 / 発酵王国、新潟の可能性・小笠原渉 / 新潟人気ショップ探訪・にいがた「銀花」、古道具「ハチミツ」 / 家づくりお役立ち事典 ほか、充実の144 ページ。定価(本体917円 + 税)。8月6日発売です。