雑木林の庭

近所でガソリンスタンドができるのではないかと噂された前衛建築の鉄筋コンクリートの家はできた。その家のことを詳述する前に、まずは外堀を埋める、ではないが、少し庭のことを書いてみよう。

 この庭も父、山口瞳がこよなく愛したものだったことは、みなさんご存じだと思う。
 完成した新居の庭は五間に四間ほどの四角い更地であった。その中央には、前衛芸術のオブジェを模したのか、容量350リッター、銀色に塗られた石油タンクが鎮座していた。…

まずはじめに。ご挨拶

築四十五年、この家はまだ完成にいたっていない。
父、山口瞳が自宅を新築することにした。完成が1969年の一月で、すぐに入居しただろうか。

当初、近所のひとはガソリンスタンドができると思っていた、という現代建築であった。…