入浴方法あれこれ

朝寝朝酒朝湯が大好きでという小原庄助さんと同じ名前をもつだけに、朝寝朝酒は好きだが、朝湯となると、ちょっと事情が違っていた。
 実は父、瞳も僕もあまり積極的に風呂に入るほうではない。特に好きなわけではないと言うと、驚かれるだろうか。
 瞳は旅先の温泉だと、一日のうちに何度も入浴するくせに、自宅にいるときは、思い出したときに、一日おきぐらいで入っていたのではないだろう。

 僕もそれに倣ったというわけではないが、基本的には一日おきに、帰宅後、就寝直前にはいることにしていた。
 していた、ということは、今現在は、そうしていないということだ。
 以前は、就寝の直前に適当な温度の湯を溜めて、湯船につかりながら、熱湯を足して、もうこれ以上は熱くて我慢できないというところで温度を上げていた。
 したがって四十五度を超えるほどではなかったか。まして、毎晩、痛飲して帰宅するのだから、年齢とととに入浴中の危険が増していた。
 ときどき、湯船の中で寝てしまい、お湯がすっかり冷めていたなどということもあった。
 これでは命が幾つあっても足りないと思っていたところ、知人が東北地方で入浴中の心臓麻痺や脳梗塞、脳卒中の事故が多いので、考えたという入浴方法を教えてくれた。

 孫引きになるが、事が重大なのでお許しいただきたい。
 提案の内容は、湯の温度を三十八度にすることと、三十分湯船に漬かる、というものだ。
 熱い湯に飛び込むから血圧が急上昇して脳卒中などを起こすのだという。また、高温だと、皮膚を守る油脂の膜が解けだしてしまい、皮膚のバリアーがなくなるのでアトピー性皮膚炎の原因にもなるという。
 三十分かけるのは、身体をゆっくりと温めることにより、いわゆる芯まで温まるので、湯冷めもしないし、リラックスもするという。
 さっそく実行することにしたのだが、温度と時間の管理が難しい。
 デパートなどの入浴用品売り場に、風呂で使う水温計があり、確かに適温は夏期三十八度、冬季四十度としてある。
 時計は台所用品のタイマーを使うことにした。防水タイプもあるので便利だった。ということなのだが。(この項つづく)