徳島県コラム三郷の乾物レシピ帖 vol.14 蕎麦米雑炊

蕎麦米とは、ソバの実から皮を取り除いたもので、徳島県西部の祖谷地方など、稲作に適さない土地で主食として食べられてきた、地域の千絵が詰まった素材。「郷土料理百選」（農林水産省・平成19年度）にも、蕎麦米雑炊は選ばれています。

蕎麦米を適量の水で5分茹でてザルにあげておく。
ニンジン、干しシイタケ、切干大根、干しタケノコなどの野菜は短冊切りに。
鍋にダシ（乾物のもどし汁）と小さく切った鶏肉、火の通りの遅い野菜から入れ、野菜が柔らかくなるまで煮る。
最後に蕎麦米を加え、醤油・みりんで味を整えて、出来上がり。好みで、ミツバや千切りにした柚子などを添える。

レシピ帖の使い方 ●分量のあるものは4人分を目安にしてます。 ●調味料の分量は、自分の家の味を目安にしてください。ただし、乾物（干しシイタケや切干大根）からは、うま味や甘みといったすごくいいだしが出るので、あまり濃い目の味にしないで、「乾物のうま味」を味わってみてください。

美郷では、原木シイタケ、菌床シイタケを作っている農家が多くあります。農家民宿・レストラン｢きのこの里｣の川村さんや「木の夢ととり」の楮山さんも、シイタケ農家です。生シイタケも美味しいのですが、干し椎茸は、生とはまた違った美味しさがあります。お日様の下で干している際に紫外線を浴びることで、生シイタケの持つエルゴステロールという物質が、ビタミンDに生まれ変わります。また、干すことによってうまみも増します。小さいうちに掻き取った「ちび丸」は佃煮にしても美味しいし、千切りは蕎麦米ぞうすいの具に使うと、いいダシが出ます。

冬場に採れた大根を、千切りや輪切りにして干す｢切干｣。風にさらされ、太陽の光を浴びることで、糖化されて甘味がさらに増し、しかも生の大根に比べると、15倍のカルシウム、32倍の鉄分、10倍のビタミンＢ１とB２が含まれます。また、体内の余分なナトリウム（塩分）を排出させる働きのあるカリウムが多く含まれ、整腸作用がある食物繊維も豊富と、

マルの乾物です。煮物にしても良し、戻してそのまま食べても良し、活用範囲の広い日本のお母さんの知恵が詰まった保存食です。

干し芋の作り方は2種類あります。ひとつは、「茹で干し」。丸のまま、あるいは切ったサツマイモを茹でてから干したものと、もうひとつが「白干し」で、生のサツマイモを切って干し、乾いた後、粉にして、芋団子の材料などに使います。美郷でよく作るのが、茹で干しと小豆を炊き合わせた「阿波のいとこ煮」です。戻した茹で干しに、茹でたあずきと少しの塩を加えて、弱火でコトコト、2時間くらい炊きます。お砂糖を入れなくても、干したお芋から出た甘味で、十分美味しい。茹で芋をたくさん作る時に、なべ底にできる「いも飴」に大豆の粉を入れたものは、昔の子供が喜ぶおやつでした。

春の山菜・ゼンマイは、乾物にするまで手間がかかります。採ってきたら新しいうちに綿毛を取り、先端の葉の部分も取り、軸だけにし、木灰や重曹を入れたお湯で良く茹で、茹で上がったものを広げて、天日で乾燥します。半乾きになったら、何回か揉みます。この｢揉む｣作業を丁寧にしておかないと、戻して調理した時に｢ふっくら美味しい｣ゼンマイになりません。美郷では、戻して炊いたゼンマイを辛子味噌で和えたものを、祝い事や法事など人が集まる時によく作るそうです。

美郷のたくましく育ったタンポポの根を乾燥して、焙煎したタンポポコーヒー。ノンカフェインで、ノンカロリーで優しい甘さが特徴です。タンポポは漢方名で蒲公英（ほこうえい）といい、その根を折ると白い汁が出ます。この白い汁の成分は苦味質ビタミン類で、身体を温める作用があり、母乳分泌促進に有効と言われています。日本ではまだあまりなじみはありませんが、欧州ではダンディライオンコーヒーと呼ばれ、家庭での手作りコーヒーとして長く飲まれています。

ハブ茶：
マメ科の一年草エビスグサの種子を乾燥させ、軽くいって、お茶にしたものです。漢方では、決明子（けつめいし）と呼ぴます。

柿の葉茶：
5月から7月までの時期に摘んだ柿の葉を、さっと湯通しして、陰干ししたお茶です。柿の葉には、レモンの20倍ものビタミンＣが含まれています。

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