駱駝って、店の名前をつけたのは、よく聞かれるけど、ホント、他愛もないことで …… 候補いろいろあったんですよ。ガラス中心に商売をやるからね、漢字でいきたいなと、最初から思っていた …… 大きな烏で、オオガラスと呼ぼう、とかね。シーラカンスは、カタカナだからダメだな、とかね。で、いや、単純に、毎日、ラクだなラクだな、といえるようになりたいな、と思ってね、それがホントですよ。
ところが、全然、そうじゃない。まあ、でも、好きなことをしているんだから、こんなものでしょう。ギュウギュウ、上からいわれることもないしね。わるいのも、いいのも、自業自得だと思っているのでね。組織の中でやれば、アイツのせいだとかってあるだろうけど、ウチら、もう、誰のせいでもない。自分に能力がないからダメなんだ、と思っていれば、気は、ラクダ、と。
親しくしているお客さんに、バブルが弾けたころ、話したんですよ。「オレたちの仕事って、特別、生活に必要なものでもない。野菜や魚を売るってことではないから、一番最初にダメになるだろうね」って。そしたら、その人が「江戸時代以来、景気不景気、というのは、必ずあったんだ。じゃあ、道具屋が全部なくなったかというと、そんなことはない。要は、つぶれるところはつぶれるし、つぶれないところは、つぶれない」。それはたしかだな、と思った。キビシイのは、たしかですけどね。