骨董屋って、品物を全部、店に出しているわけではないですからね …… 業界用語で、“ メアカがつく ”っていうんですが、品物をずっと出しっぱなしにしておくと、いろんな人が見て汚れてきちゃう、ような…… 。逆に、いいものは奥から、こんなものがあるんですが、と出すと、ありがた味があるんですね。ぼくは、お客さんが帰られるとき「どんなものをお探しだったんですか?」と聞きます。そこから話が始まって、実は、こういうものを集めている…… 。それじゃあ、少しお待ちください。うち、こういうの、2、3点、持っているんですけど、とお出しすると、お互いの距離間が縮まりますね。
骨董屋の場合、店にきた方が商売になる確率って、すごく低いんですよ。他のお店、たとえば、コンビニだと、入るとまず買って行くじゃないですか。骨董屋にくる方は、気にいったものがないと、入ってきて1分と見ないで帰る方、結構、いますから。入ってきた方で、商売になるのは10 %ないですね。まあ、逆に考えれば、うんと気楽な商売ですよ。
以前、たまたまココをのぞいていった、あれは、東京女子大の “ 学祭 ” の帰りかなあ。そのコが、いったんです。「オジサン、失礼かもしれないけど、質問してもいいですか?」「なんでも聞いてごらん」すると、「オジサンたちって、これを売ってゴハンを食べているんですか?」たしかに、若いひとから見ると、こういうものが売れるということは、あまり理解できないんでしょうね。まあ、どう見ても、ガラクタなのを売っていて、どうなるのかな、と思うんじゃないですか。
真剣な顔をしているコに、自分の店で小売りする以外にも、オークションというのがあって、それ向きのおもしろいものは、そこへ持っていくんですよ。場合によっては、オークションの売り上げが、圧倒的に大きかったりする。商売には、そういうウラとオモテがあってね …… と説明すると、納得して帰っていきました。