ぼくら、耳で聞いて使っている言葉なんですが、この商売、ハタシ、カイダシ、ミセシと、大ざっぱに、三つの分類があるんです。ハタシは、店から店へ品物を動かす。あ、これは、あそこの主人が好みそうだ、というのを「実は、こういうのを見つけてきました」 「じゃ、買いましよう」と、やる。間口のせまい、自分たちの得意分野をやる商売。カイダシは、古い家をまわって歩いて、いらなくなった古いものを買って歩いて、業者のオークションへ行って業者相手に売る、とか。小売りはしないわけですね。
その二つを複合したようなのが、ミセシです。それが、私の店。ですから、どの分野も扱いますよ。お声をかけていただければ、行って、そこから自分の店で小売りできるもの、オークションに出すものと分けて、商売しているんですね。昔は、明確に三つの分野に分かれていたんですが…… いまは、骨董を集めていた方がリタイアなさって、蒐集したいたものを、すこしずつ売っていくのが増えました。ぼくらが骨董屋で修業していた昔に比べると、店の数、ナン十倍か。それは、ぼくらもフシギに思います。不景気だけど、みんな頑張っている。
フシギな商売ですよね。本当に必要なものを売っているわけではないですからね。趣味のものを売っていて、でも、やっていける …… というのは、スゴイと思いますよ。店を持たずに、インターネットのオークションで売られている、その骨董品の金額も、相当な額になっているんじゃないでしょうか。まあ、仲間が増えることはいいなあ、とは思いますよ。時々、相談をうけますけど、やりたい時には、やったほうがいいですよ、といいますね。ぼく自身は。表参道で修業し、三田や六本木、そして、西荻窪へ。西荻窪は、やっぱり知名度が高い。お店が、固まってあるという強みは、やっていて感じますね。個人で宣伝しなくても、お客さんが来てくれる、ということありますし、ね。