- 設計:増岡 徹・陳 雅琳
- 施工:矢島工務店
- 薪ストーブ:ログエアー/ミノス

なだらかな丘陵に囲まれ、すぐそばに川が流れる。建築家の増岡さん、陳さん夫妻の自邸は、そんな豊かな自然に抱かれるように佇む。LDKは見晴らしのよい2階に配置され、そのコーナーには1台の薪ストーブが鎮座している。「火を眺めながら、家族でゆったり過ごしたくて……」と陳さん。加えて増岡さんは、子どもに火を体験させたかったと言う。「僕が小さい頃は、竃(かもど)もあったし、風呂も薪で焚いていて、火が身近にありました」。しかし今日、生活のなかで直火を体験しない子どもが増えている。「楽しさだけでなく、危険も含めて火のリアリティを感じて欲しいと思ったんです」。そんな親の想いは、「早く自分でストーブをつけてみたいの」というお嬢さんに、しっかり伝わっているようだ。
ゆったりとしたLDKを見回すと、テレビがないことに気づく。「テレビもストーブも、存在感が大きいので空間のなかで喧嘩してしまう。なので、団らん空間は薪ストーブを優先させ、テレビは別室に置くようにしました」と増岡さん。ストーブはニュージーランド製のものを選択。彼の地ではユーカリを燃やすというだけあって、針葉樹でも焚ける機種である。「入間は西川材という杉や檜の産地です。間伐材を消費することで、微力ながらも森林の保全に貢献できればと思っています」


炎を楽しむ家
- 火を熾す手間から、豊かな”いい時間”が生まれる
- 日暮れから始まる、炎と戯れる魅惑のひととき
- 暖炉の生きた火を、親子で静かに楽しむ時間
- 薪づくりから満喫、炎に親しむ豊かな暮らし
- 料理に薪風呂、炎が支える手づくりの暮らし
- 四世代の家族を結ぶ、「火場」のもつ力
- 緑や光と同様、火は暮らしを豊かにする
- 生活のなかで体験する、直火のリアリティ
- 懐かしさ溢れる土間で楽しむ、炎という贅沢
- 都会の暮らしを豊かに彩る、炎のゆらめき
- 森の家で味わう、火のある安らぎの時間
- 炎の揺らめきが蘇らせる、大切な家族の記憶
- 家族の時間をやさしく包む、炎のぬくもり
- 宴の”おもてなし”は、炎とストーブ料理