- 設計:加藤武志建築設計室
- 施工:幹建設
- 薪ストーブ:スキャン CI-10GLCB

板張りの勾配天井と窓の外には大きなウッドデッキ。I邸の2階に設けられたリビング・ダイニングに身を置くと、まるでどこかの山小屋にでも居るようで、ここが都会の住宅街であることを忘れてしまう。窓に背を向けるように佇む薪ストーブの炉室で、炎がゆらめく。「本来ならテレビを置く場所に薪ストーブを設置しました」と、建築家の加藤武志さん。「ストーブを焚くときは必ずテレビを消して、薪のはぜる音に耳を傾けています」と夫妻が微笑む。
薪ストーブは奥さんのたっての願い。「小さい頃から火が好きで、ガール・スカウトのキャンプで火を熾し、マシュマロを焼いたり、炎を囲んで皆で歌ったりするのが楽しみでした」。ご主人とアメリカのメーン州でキャンプをした思い出も忘れられない。「誰もいない山奥で一晩中火を燃やしながら過ごしました。狼の遠吠えが時折聞こえてきて怖かったですが(笑)」と、ご主人。
I邸には親戚をはじめ来客が多い。そんな時、夫妻の心づくしの料理とともに客人をもてなすのが薪ストーブだ。「食事の後、男たちは知らず知らずのうちに、ウイスキー片手に薪ストーブの前に車座になっているんです。やはり、みんなが囲める場所に設置してもらって正解でしたね」(ご主人)

炎を楽しむ家
- 火を熾す手間から、豊かな”いい時間”が生まれる
- 日暮れから始まる、炎と戯れる魅惑のひととき
- 暖炉の生きた火を、親子で静かに楽しむ時間
- 薪づくりから満喫、炎に親しむ豊かな暮らし
- 料理に薪風呂、炎が支える手づくりの暮らし
- 四世代の家族を結ぶ、「火場」のもつ力
- 緑や光と同様、火は暮らしを豊かにする
- 生活のなかで体験する、直火のリアリティ
- 懐かしさ溢れる土間で楽しむ、炎という贅沢
- 都会の暮らしを豊かに彩る、炎のゆらめき
- 森の家で味わう、火のある安らぎの時間
- 炎の揺らめきが蘇らせる、大切な家族の記憶
- 家族の時間をやさしく包む、炎のぬくもり
- 宴の”おもてなし”は、炎とストーブ料理