無塗装の場合、デッキ材は経年変化によりグレーがかった色になる。

塗装するか、しないか?

完成したばかりのウッドデッキは美しいものですが、絶えず風雨にさらされるため、みるみる古びていくのが普通です。通常、10~15年で張り替えの必要が出てきます。その間のメンテナンスについて考える際、そもそも施工段階で選択すべきことがあります。それは、「塗装するか、しないか」です。

塗装する場合

最初から塗装を選択する場合、1~2年おきに塗り直しが必要なことを知っておきましょう。いったん塗装したものを塗り直さないでいると、ところどころ塗料が残り、みすぼらしくなってしまうのです。

塗料は好みの色に仕上げられるだけでなく、紫外線焼けや傷、腐りや虫の害からデッキを保護する役割を持っています。

塗料には「造膜性塗料」と「含浸性塗料」があります。「造膜性塗料」は高い保護効果はあるものの、ペンキのようにカチカチの仕上がりになってしまうことが多く、木材を使う意味がなくなってしまいます。保護効果では劣りますが、木材の吸放湿性を妨げない「含浸性塗料」がおすすめです。もちろん、有害化学物質の使用を極力抑えたエコ塗料を選びましょう。

塗装の仕方

完成後1年目に塗り直すと塗料の持ちはぐっとよくなります。塗り直す前にはまず、板に粗めの紙ヤスリをかけてから洗浄し、カビや腐朽菌、ゴミやチリをしっかり取り除くことが大切です。ヤスリがけにサンダーを使うのもおすすめです(ホームセンターで比較的安価に入手可能)。洗浄はデッキに水をまんべんなくまき、板に水を含ませ、ふやかしてから木目の方向にたわしで強くこすります。クレンザーなどの洗剤は木目の間に成分が残るので水だけで洗いましょう。洗ってから2晩ほど置き、しみ込んだ水分を完全に乾かしてから塗装します。塗装は、木目を生かすために、拭き取りながらできるだけ薄く、2回重ね塗りします。なお、塗り直す塗料は必ず、最初に使ったものと同じ種類(色は変えてもOK)を使い続けます。

無塗装の場合

腐り(腐朽菌)と焼け(紫外線)の両方に強いエコ塗料は、実はなかなか存在しません。紫外線カットには濃い色が有効ですが、せっかくの木目が沈んでしまいます。また、薄い色で塗っていても、何度も塗り直すうちにだんだん濃い色になってしまいます。定期的に洗って塗ってという手間を考えると、最初から無塗装という選択肢もあります。この場合、経年変化により木の色が徐々に失われ、一般に「銀鼠色(ぎんねずいろ)」と呼ばれるグレーがかった色になります。この経年変化を受け入れて楽しめる人にはおすすめです。なお、この状態でも、材自体の耐久性にはほとんど影響しません。

板を裏返す

使っていくうちに板の一部がへこんでくると、そこに雨水が残るようになり傷みはじめてしまいます。雨上がりにいつまでも乾かない箇所をみつけたら要注意です。板を錆にくいステンレスビスで留めておけば、表面が黒くなった程度の古び方なら、裏返して使うことができます。

塗り直しの要らない保護塗料もある。「ウッドロング・エコ」(小川耕太郎∞百合子社)