シロアリが好きな家のイメージ

シロアリが好きな家のイメージ

見えないから怖いシロアリ被害

シロアリ被害の多い九州では、シロアリを「テラドウ(寺倒)」、「ドゥトウシ(堂倒し)」と呼ぶ方言が残っていますが、その被害は、ときに建物を倒壊させるほど甚大です。また、ある薬剤開発メーカーが行った調査では、「まったくシロアリの被害がない」と回答した人は全体の約47%で、残りの約53%の人が何らかの形でシロアリ被害を経験しているとの結果が出ています。これほど、シロアリ被害は私たちに身近なものになっています。

シロアリがひとたび床下に侵入し、基礎から土台に到達すると、そこからどんどん木材の食害が進んでいきます。怖いのは、その被害が見えないところで進行していることです。気が付いたときには、家を支える構造材がスカスカ、床下がボロボロというケースが少なくありません。

シロアリ被害は地面から1メートル程度の範囲で多く見られますが(暖かく湿った場所を好むため浴室やキッチンの床下の被害が特に多い)、場合によっては2階や屋根、軒に達することもあります。目の前のものはとりあえず何でもかじる習性があるため、断熱材、紙、金属やケーブルなど木材以外にも被害が及びます。

見えないから怖いシロアリ被害"

シロアリの侵入経路「蟻道」

木材を主食とするシロアリは、地中の巣から蟻道(ぎどう)をつくって私たちの家に侵入します。蟻道とは、体が弱く乾燥や光を嫌うシロアリが、地中から餌(木材)までの道のりに土や糞などでつくるトンネルのことで、シロアリ被害を発見する手がかりにもなります。基礎の割れ目やモルタルの剥がれなどから侵入するケースが多く、日頃の点検・補修が重要です。

シロアリに強いと言われるヒノキやヒバですが、琉球大学と京都大学の共同実験「野外における高耐蟻性樹種への表面蟻道構築試験」では、その他の材より被害が少なく、殺蟻成分が確認されたものの、表面には蟻道がつくられており、耐蟻性が十分とは言えないことが判明しています。また、RC造だからといって安心はできません。わずかな隙間からシロアリは侵入し、木製の家具や建具を食害するケースもあるからです。

シロアリの侵入経路「蟻道」

シロアリの侵入経路

シロアリの侵入経路
地中の巣から蟻道をつくりながら、住宅の木部に侵入する。基礎の割れ目やモルタルの剥がれなどは要注意。

 
写真提供:*1 ㈱日本しろあり対策協会/*2 ㈲ハウス・キーパー
 

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