木の家を知る

 

木の家の構造は大きく分けて、在来工法と2×4(ツーバイフォー)工法があります。在来工法は風通しを重視するわが国伝統のもので、柱と梁をベースとするため木造軸組工法とも呼ばれます。これに対し、2×4工法は北米などから輸入されたもので、柱と梁ではなく2×4材で構成した壁をベースにするため、木造枠組み壁工法とも呼ばれます。このほか、ログハウスなど特殊な木造工法もあります。ここでは、在来工法の仕組みと各部の名称をご紹介しましょう。
 
地面に最も近い
土台(どだい)
建物の最下部で、基礎と建物の骨組みをつなぐ重要な役割を果たしているのが土台です。地面に最も近いため、ヒノキ、ヒバ、クリなど腐朽菌やシロアリに強い材が使われます。ただし、必ず心材(赤身)であることが条件です(その他の樹種を使う場合は防腐防蟻剤を加圧注入するなどの処理が必要です)。また、適材を用いても土台周辺を風通しが良く水分の少ない環境にしなければ、その性能は発揮できません。そのために、土台下に換気スリットを設けるなどの工法が有効です。
 
四隅に必要な
通し柱(とおしばしら)
2階以上の建物で1、2階を貫いている柱を通し柱といいます。建物の四隅には必ず必要な柱です。梁や胴差しとの接合部(仕口という)には、かき取る溝ができるため、断面が4寸以上の材でなければなりません。材種としてはヒノキやスギ、ヒバ、ベイマツも使うことができます。
 
土塗り壁をつくる下地材
貫(ぬき)
柱を貫いて柱と柱をつなぐ部材が貫です。壁をつくる下地材ですが、耐力壁をつくる重要な部材でもあります。ただし、貫材の厚みが30㎜以上のものを、耐力壁を構成する貫と考えた方がいいでしょう。貫のつくる耐力壁というと、一般的に土塗り壁を指し、構造合板や筋違いでつくる耐力壁に比べて耐力は劣りますが、粘りがあって変形しても極端に破壊に至らないのが特徴です。貫の変形はそのまま壁の変形に影響しますから、よく乾燥した木材を使うことが大切です。
 
壁をつくる下地材
間柱(まばしら)
柱と柱の間にあって、横もの(土台や梁、胴差し、桁など横に架ける材)の間に立てる柱を間柱といいます。柱といっても正角ではなく、通常45×120㎜の平角の部材です。間柱は壁をつくるための下地材であり、壁の厚さによって部材寸法が変わりますから、ひとつの建物に数種類の寸法の間柱が必要になります。壁の中に隠れてしまう部材ですが、仕上がり面の壁を変形させないよう、また、壁内に水分を出すことのないように、よく乾燥させた木材を使用することが大切です。
 
短い柱のような
束(つか)
短い垂直材のことを総称して束といいます。小屋束は母屋を支える束、床束は大引きを支える束です。1階の床を支える床束の下に設ける石やコンクリートの部材を束石といいます。
 
耐力壁をつくる
管柱(くだばしら)
1階のみ、2階のみにある柱は管柱と呼びます。1階では梁や胴差しにかかる力を受けて支える部材で、2階では小屋梁や桁にかかる力を受けて、さらに下部に伝える役割を果たしています。また、耐力壁をつくるための重要な部材です。材種はヒノキ、スギ、ヒバ、ベイスギ、ベイヒバなどを使いますが、ケヤキやクリを使った民家もあります。真壁工法の場合、柱に割れを生じないように背割りをした材が使われますが、柱の脚部に重要な接合部がある場合は背割り材ではない方がよいでしょう。
 
1階の床を支える
大引き(おおびき)
大引きは1階の床を支える横架材で、その端部は土台で止められています。床は、この大引きの上に根太を一定間隔で打ち付けて、床板を張って仕上げます。大引きは普通は半間(約90㎝)間隔で入れますが、床に厚板を使う場合は、根太を省略して、厚板を直接大引きの上に張ることもできます。床の荷重は大引きが受け、それをさらに半間間隔に立てた床束が受けて基礎や地盤に伝えていきます。
 
柱と柱をつなぐ
桁(けた)
外壁面のいちばん上部にあって棟木と平行な部材が桁です。役割としては柱の上部をつなぐ部材で、さらに屋根をつくる垂木を受けてその屋根荷重を下の柱に伝えます。また、風圧力を直接受けるので、屋根が持ち上がらないように、桁と垂木の接合部はしっかりしたものでなければなりません。