エエ、私、香川県高松の出身です。工芸高校のデザイン科に進み、ずっと美大受験のクラス。普通の勉強がキライでしてね。毎日、石膏のデッサンをし、絵を描いていました。そして、美大に進み、デザインの勉強をして、卒業後は布地の絵柄を描いたり、雑貨のデザインをしたり。ずっとそういう世界にいました。…… アナログ世代なので、全部、自分の手でどうにかカタチにしてきたんですけど …… 40歳過ぎたあるとき、これから先のことを考えた。ちょっと、これまでやってきたことと違うことをやりたくなった。でまあ、いろいろ考えたんですけど、結局、“ もの” から離れられない。
いままでのことと違って、でも、ものにたずさわることというと、もう、売ることしかない …… そう、思ったんですよ。そして、お店、という考えに来たんです。でも私、商売をしたこと、まったくなかったし、まわりに商売をしている人もいなかった。売って、家賃を払って、またつぎにまわしていくためには …… だけど、私のちょっと変わったヘンテコリンな趣味の品を並べても …… お店は1年ともたない気がする。まあ、手堅く、家庭雑貨を並べてスタートしようと思って、そのくくりで考えたんですね。
主人からは、商売には向いていないよ、と言われました。でも、結構しぶとく食い下がって、とりあえずやってみたい、家賃が払えなくなったら、1年でやめてもいいから、と。このまま不完全燃焼で死んじゃったら、後悔するから、と。で、主人は、まあやれるときにやってみたら、と承諾。私の性格を知っていますから、この先、毎日、それを言われるのが目に見えていたんでしょう。そのとき、下の子が小4、上が中1 だったかな。私、それまで締め切りに追われ忙しくバタバタして、いつも機嫌がワルイ。だからまあ、お店を始めることで、少しはよくなってくれると思ったのかな。まあ、私も説得しましたけどね。