全国版コラム 今日もアンティーク日和

title_vol4

Collection's店のホームぺージには、「修理も致します。」と入れてあるので、実際、修理依頼も多く、今も、11点か12点、お預かりしています。あの震災の後は、ボランティアでも修理しました。どれも、酷い壊れ方をしていて。ガラスのランプシェードが完全に割れてしまったモノとか、ですね。亡くなられたご主人がお好きだったというランプで、地震で棚から落ち、ガラスシェード部分が、40個以上の破片になってしまっていたり。ただ、こういった状態になると、もう、元に戻るわけはないんです。けれど、その方にしてみれば、そのガラスシェードに、また灯りが点く事が大切な訳で、その想いをうかがいながら、どう修理したら良いのか判断します。

この場合、今まで、実際に経験はなかったけど、金継ぎで修復しようと思い、あらためて金継ぎを学ぶことにしました。しかし、焼き物と違って、ガラスの割れ目には隙間ができないので、多くの破片を接着剤などで継ぎ合わせていくと、全体は膨らんだ形状になってしまうんです。それで、ガラスの破片の厚みは1ミリか1.5ミリほどのものでしたが、まず、全ての破片の割れ目に沿い、その中央に、リューターを使い、溝を掘りました。そして、その溝に流した込んだ特殊な接着剤で、まず、全体を繋ぎ合わせるわけです。ただ、接着剤は、年月や環境により、色が変色することがあります。 すると、とても見苦しい状態になる訳で、そこで、その継ぎ目の表面に金継ぎを使うことにしたんです。金粉・・・真鍮の粉と漆とを混ぜ、あえて、繋ぎ合わせた面に、金のラインを入れました。割れてしまった部分を変に隠そうとするのではなく、これは割れたんだぞ、くっつけたんだぞと、堂々と見せてしまうわけですよ。これは、記憶である、と。

Collection's修理品は、お預かりしてから、すぐに手を付けてはダメなんです。どんなモノでも、暫くの間は、眺めては考えて、また、眺めては考えて。アンティークの修理は、ワンチャンス。やってみてダメだったからといって、もう、他の方法は取れない。経年の中で、金属などが疲労していて、無駄な修理を繰り返すことで、かえって、状態を悪くしてしまうことも多いんです。時には、元に戻らなくなる。だから、にらめっこをして、考える。あの方法、この方法と、何通りも考えて、その中で、極力、リスクの少ない方法を選択するんです。あの時も、そうやって、金継ぎを使うのがいい、という結論になった。それから、金継ぎを勉強しながら、他の仕事の合間、合間に作業をする。結局、お返しするまでに1年半も掛かってしまいましたよ。
 

  • backnumber
  • backnumber_a
  • backnumber
  • backnumber
  • backnumber
全国版コラム 今日もアンティーク日和

Collection's

〒167-0053
東京都杉並区西荻南2-29-18

Tel&FAX:03-3335-6015

OPEN:12:00~21:00

定休日:不定休

HP:http://members3.jcom.home.ne.jp/collections2004/