以前、僕はインテリア系企業にいたんですけど、次第に、「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば・・・」みたいな感覚、心境になりましてね。もう、辞めようかな、と思っていた、そんな頃、ふらっと遊びに来たのが西荻窪だったんです。気晴らしに、あちらこちら見て回り、最後に入った店からの帰り道に、偶然、雰囲気の良い作りの空き店舗に出会ったんです。ただ、その店舗は条件付きの物件で、建て直しの予定が決まっている為、７か月間だけ貸すというものでした。ただ、雰囲気が良く、その店を見たとき、特に何の予定も無かったのに、借りてしまおうと思いました。それくらい、その店舗に魅力を感じたんです。
それに、７か月のみ、という条件ですから、何をやったとしても、その７か月で終わる訳で、そしたら、また次の事を考えようと・・・。まあ、インターバルみたいな感じですね。
そもそも、僕の人生が思いつきみたいなものですから。その店舗の張り紙には不動産屋さんの電話番号もあったので、居なければ、そのまま帰るつもりで、一応電話をしてみました。
そしたら、けっこう遅い時間だったんですが、居たんですよ。そして、その不動産屋さんも感じが良かった。で、すぐに、借りますと。そうなると、次は、じゃあ、何をやろうかってことですよ。自宅には今まで集めた物がいろいろあって、それこそ、一軒埋まる程になっていたので、それを引っ張り出し、家を片付けるつもりで売ろうかと。昔、フリーマッケトに出店して、けっこう面白かったから、まあ、ここを常設のフリーマーケットにでもと考えた訳です。家から、もう自分には興味の無いものを持ってきて並べているうち、何か、わからないけど、お客さんがついちゃったんです。そして、海外のガラス工芸品とかが多かったんですが、二束三文の値段で販売しながらも、気が付いたら、いつの間にか結構な売り上げになっちゃいました。

さて、期限の７か月目が来た頃、近所のケーキ屋さんのオーナーがやって来て、「ココ、もう出るんでしょう？　オレはもう、西荻の店はやめることにしたから、そのあと、どう？」と。それが、今の、この店。そして、同時に、以前からやってみたかったカフェを併設してみたり、一時は、ミニライブを催したり・・・つぎつぎと夢を叶えながら、そして、ある時は夢から醒めて、その繰り返しの中、段々と、自分の方向性が定まってきた、という感じですかね。